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「先生、どうして豚っていつも食べられなきゃいけないんですか」
えぴねは受け持ちの子豚から相談を受けていた。少し思いつめがちだが、真面目で優しい豚だ。家族と進路相談で揉めている真っ最中らしかった。
「あたしは進学したいのに、買い手がつかなくなるって、パパが…」
「そう、困っちゃうね」
えぴねは落ち着いた様子で、手元に相談内容を記録した。子豚は悔しそうに鼻をすすっている。
つまらない押し問答が続いているうちに、下校時間のチャイムが鳴り響いた。うつむいたままの子豚を見送ると、えぴねは相談室を手早く片付ける。
後日、上機嫌で男子生徒と腕を組んで歩く例の子豚がいた。そのひづめには、レシピブックが握られている。えぴねは無表情でそれを眺めていた。
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