第4話 珍友? 不思議少年、永井玲吾

 令和の現代。今や広島県福山の都市まちは、なぜだが異星人たちにより侵略目標になっていた。

 それゆえに、関東は政府官庁は広島県の空中武装勢力に立ち向かう政策を練るという段階にまでメディア発表されていた。

 それでは遅いのである。

 貴重な戦闘データが敵の人間らしき奴から奪われた。戦略が盗まれた事で大ダメージを負ったのだから。


「わたしがうかつだったわ」

「過ぎたことは仕方ないさ、リッちゃん。ここからは、慎重に計画を立てねばな」

「アイツ。おそらくこないだのライバル相手の中で操作してた奴だ。俺には分かる。卑怯な手を使いやがってさ」


 ブツクサ言う衛朱。少年の襟首を引っ張り上げ、文句を飛ばしてきた横槍な影にアレコレされるのであった。


「女みたいにゴチャゴチャ抜かしてんじゃねえよ!! テメエのようなゴキのような奴は潰れてしまえ!!」

「やぶから棒に、どこから湧いて出てきた? そっちこそ名乗りやがれ!!」

「オイラは永井ながいや。永井玲吾れいご。分かったがー」

「俺は片主衛朱だ。6年だ」

「なんだぁおめえ、オイラとタメかいな」

「同じガキって事かー。俺とおサル遊びしてる場合じゃないよな。この先、よく考えないとな」

「じゃ、オイラも一緒に考えてやるぜ」

「いいって。これは俺の戦いなんだ」

「勝手に自分の世界作って格好つけてさ。ジブン、オツム大丈夫かいな」

「んだと!! もういっぺん言ってみろ」


 里津子が子供の喧嘩を一言で止めた。


「あなたたち、美味しいご飯食べたいなら大人しくなさいね」


 二人とも腹のグ〜と鳴った音で恥ずかしくなって静まり返った。


「ご、ごめんなさい……」


 食事中に玲吾の事情が明るみになったのである。

 つまり、里津子の姉妹で一番上の長女の息子がこの少年。

 里津子の尻を追いかけ、やっとのことでここ広島まで飛んで来た訳だ。

 食後に衛朱の借りぐらししてる倉庫室へと二人は入った。


「リツ姉のおいっ子かよ。似てねえな」

「うるせー。お姉様には逆らえないんだよ」

「おばさんでなくそう呼んでんだ」

「あんな綺麗な末妹の人をおばと呼べるかいな。バチ当たるわ」

「リツ姉、彼氏いないのかね?」

「彼氏はビデオカメラか、ライカだな。なんせ撮影する時が一番輝いてるお姉様だしな」

「ライカ?」

「ジブン、知らねえのか? 古いカメラだよ。文化財にするのももったいないくらいのアンティークカメラのことさ」

「へえーなんでも知ってんのな、お前」

「そらもう、ゾッコンだし、オイラ」

「お互い、求めるモノが同じだとツラいな。俺も分かるぜ」

「も? もってなによ。おんどれにお姉様はやらんぞ!!」


 また里津子が部屋の手前に来た。


「夜遅いから、早く寝ましょうね〜お二人さ〜ん」


「おやすみなさい!!」


 シンクロしては就寝の挨拶をして静まった少年たちだった。


 あくる日。里津子の長姉には真実を電話で一報し、玲吾を怒ってた事もすべて、連絡事項を少年にくまなく話したのだった。


「やっぱ、母ちゃんキツく怒ってんなぁ。オイラ死にてえ〜」

「無断で家出すりゃそうなるでしょうに。あんたはそそっかしいのよ、まったく」

「お姉様ぁ、一ヶ月くらいいい?」

「分かったから、その代わりジブンの仕事はちゃんとやる。分かった。特にエージュ君もサボり気味よ最近。気をつけましょうね」

「はーーーい」


 またもや二人ともシンクロして返事した。


 頼まれた仕事の帰り。その依頼が二人で一件のモノなので、衛朱と玲吾は『仲睦なかむつまじく』共同活動したという。


「なぁんだ。まだ時間空いてんのな。道草食うか〜」

「敵がなかなか侵略して来ないからなんか平和な感じだが、うかうかはしてらんないな」

「この調達のもん、爆発物的なもののサポート道具なんだって? 何に使うんや」

「敵をあざむく戦法のモノさ。今に見てれば分かるぜ」

「もったいつけんな。口で説明せんか口でさ〜」

「ここまでよく来れたな。交通機関なんて広島はここまで荒れてんのに」

「あ、その事はホントは内諸だったんだがな、ジブンにだけは教えてやるわ」

「なんだよ、もったいぶってないで言えって。なぁ」

「まぁまぁ、慌てんな。オイラは鳥型の輸送機で来たんだぜ」

「はっ?」

「機械的な翼を召喚して空から来たんだ。これは他言無用だぜ、ええな」

「召喚って今流行ってんのか?」

「いい質問だ。これ見てみ? ホラよ」


 腕に巻きつけた負傷患部の包帯かと思いきや、その中は衛朱の胸の紋章に似たアザそのものだった。


「俺とおんなじようなアザ?」

「そうそう、そういうことだ」

「俺のは胸にあるんだ。ホラよ」


 シャツを脱ぎ捨て、胸のアザを見せつけた衛朱だった。

 あぜんとした玲吾。

 だがしかし、玲吾少年は証明として試しに召喚してみせた。


「ホールバード!! 来いや〜!!」


 これで召喚してみせたので、信じることにした衛朱。

 軽く喝采かっさいしてその機翼には柔軟な何かを感じさせた。


「お互い、珍友ちんゆう同士だな。あらためてよろしくな」

「だがな……チンユウはやめてくれよな」


 なんだかんだ、衛朱と玲吾はフレンドリーな関係になれた。

 ガキ同士でもあってか、すぐに友情を取り交わせたのだった。




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掣装ヴァスナー 費旺 徳 @mstk147abc

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