最終話:神を継ぐ者、世界を継ぐ者

ザルヴァーンとの最終決戦は、現実世界でも精神世界でも同時に展開されていた。

蒼の《全因律(オムニカウザル)》と、ザルヴァーンの禁呪「真虚の律(しんきょのりつ)」が激突し、時空は砕け、法則すら揺らぎ始める。



蒼は一歩ずつ前に進む。

その背には姉・静の絶対なる意志と、レティアの不動なる主権、そしてリリスたち仲間の想い。



「俺は、“選ぶ”力を継いだ。姉さんから、世界から――そして、自分自身からも」


運命律を束ねた《全因律》は、世界そのものを再定義する力を発揮する。



ついにザルヴァーンは膝をつく。

「人が……神を超えるというのか……」

彼は静かに崩れ落ち、虚無に還る。



そして、運命律は一度、完全に「空白」となる。

世界は何者にも定義されない“原初の瞬間”に戻った。



その中心に立つのは、蒼。

そして、全能神を超えた“超越神”として覚醒する静。


「蒼、あなたにこの世界を託すわ。私は、あなたの“始まり”となる」

静は力を蒼に引き渡し、ついに完全なる《全因律・解放状態》が完成する。



蒼は世界を“再構築”する。

そこにあるのは、絶対秩序でも混沌でもなく、

人と神と想いが共に在る、選択と共存の世界。



そしてその中心には、

――“神の王”であるレティアが、

――“神の力”そのものである静が、

――“未来を担う意思”である蒼が並び立っていた。

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