#3 雪と雨が小学校に入学(雪6~7歳・雨5~6歳)

雪が小学校に入学します。雪はいつでも元気いっぱいで、給食はモリモリ食べるし徒競走はいちばん。友達とも仲良くできます。

雪は花のいいつけを守って人間の姿で過ごしますが、おおかみとしての一面も現れています。野原で腕にアオダイショウを巻き付けてみたり、小動物の骨や爬虫類の干物を宝物として持っていることは、雪のおおかみらしい内面が出ています。しかし、ほかの友達と違うことに雪はショックを受け、ほかの女の子と同じようにおしとやかに、女の子らしくふるまおうと決心します。つまり、雪は人間として生きていく人生を選んだのです。

それに対して雨は、雪と違って学校に行くやる気が出ません。家を出て左側の里、つまり学校や人間社会がある方向ではなく、右側の山の方、おおかみとしての生き方に惹かれるようになります。このシーンは、序盤の小児科と動物病院で迷うシーンと同じく、三叉路で登場人物に二択を迫る構図となっています。

そのころ花は、自然観察員の補佐の仕事を始めます。きわめて賃金が低い仕事ですが、雨に山や自然のことを教えるためにこの仕事に決めます。自然センターで出会ったシンリンオオカミは、おおかみおとこと重なるキャラクターです。立派な狼でありますが、出自は動物園で野生での生き方を知りません。おおかみおとこと同様、人間にも、おおかみにもなりきれない存在として描かれているのです。

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