第5話 荒田の恋事情

有泉荒田、コードネーム光線銃。その名だけあって能力は光線銃である。

ときに人の視界を奪い、感覚を特殊な弾で麻痺させる。


「ちょっと荒田?いい加減にしなよ。」


「へっ、雑務とかいう無能たちには俺に物を言うだけの権利はない!」


荒田は昔からああだった。


「お前マジでトロイよな。もっとシャキって動けよ!」


昔、幼稚園で荒田と同じグループで何かをつくる時があった。幼稚園児だったから、そんな速く走れないし、重い荷物を沢山持ったりもできない。でも荒田はそれが出来た。もうその頃には能力が開花してたから。


「だ、だってぇ、あらたみたいにできないんだもん。」


「じゃあ同じ班なるなよ!」


私は昔から荒田が大嫌いだった。


「有泉君には、きっと何かあるんだよ。」


「いや、ないよ。」


私はずっとそう思っている。




「あー、まじめんどい。」


どうしてあいつといっつも同じなんだよ……。


「あ、有泉じゃないか。」


悩んでる時に限ってどうして紫二屋と出会うのか。この世界で1番と言っていいほどの美形。あんな顔持ってたらきっとモテモテでチヤホヤされて……羨ましい。


「どうしたんだい?何か悩んでいるというか。有泉らしくないじゃないか。」


「うっせぇ。」


「そうか、それじゃあ。」


「……おい、ちょっと待て。」


この紫二屋に俺の悩みぶちまけたら……俺も。


「紫二屋、お前どうやったらそんなにモテるんだ。」


「ん?あぁ、そういうことか。俺は何もしてないよ。相手を振り向かせたいのなら、相手にかっこいいところをみてせたらいいんじゃないかな。」


俺は昔から一途だ。アイツを振り向かせれるんなら……


『きゃー♡荒田かっこいー♡♡』


「ふふ。」


ぶっちゃけ言うと俺は今、恋をしている。幼稚園児だった時から、10年も。


「ほんとに凄いねー。」


「俺、かっこいい所見せたくても……なんと言うか、いじめたくなると言うか。」


「そうか。なんか、君、可愛いよね。こう見えて。」


「ア"ァ"?」


男が可愛い?こいつの感覚が全然分かんねぇ。


「じゃあ、今度の任務でいい感じにしてあげるよ。かっこいいところ見せたいだろ?」


「……。」


そのために俺がもっと強くならないといけない。

家族と、大切な人を守る為に。


「あ、居た!」


あいつが来た。どうしてだ、いつもいつも、こいつと同じ班、同じクラス。ずっとそうだった。でもどうしてか嫌な言葉を出してしまう。


「(ほら、有泉。ごめんって、自分から言うんだよ。)」


紫二屋のアピールが輝いている。


「その、あのだな。さっきは___」


「あんた先生に謝って来てよね!誰だってあんなこと言われたら嫌でしょ!」


「……俺の話をまず聞けよ!お前は!」


それでも俺は、あいつが、心の底から守ってやりたい人間なのだ。

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