第03話 狂熱のライブ

「グランドコントロールより、トム少佐。聞こえているか?」

 日曜の朝の呼び声サンデー・モーニング・コール。目覚めた。ベッドから転がり落ちた。頭に櫛を走らせた。

「グランドコントロールより、トム少佐。聞こえているか?」

 トランジスタ・ラジオから声が聞こえた。ミスター・ムーンライトの声だった。俺を空の上で待っている。俺をイカれさせる予感がした。

団結し合おうカム・トゥゲザー。今すぐに。俺たちと一緒に」

 ミスター・ムーンライトは言った。*1


 日曜の朝サンデー・モーニング。悲しみのロックフェスティバル。夢の島思念公園にて。木漏れ日の芝の上で。俺はまだ立ち続けている。幼児のように震えている。

難しく考えるなイッツ・ソー・イージー男の子は泣くなボーイズ・ドント・クライ。ロックンロール・バンドでがなりたてろ。トップへと叫べ!」

 ミスター・ムーンライトは言った。*2


 ミスター・ムーンライトは左手でギターを弾いた。ピンポールの魔術師とピアノマンも一緒。彼らとのジャム・セッションはとても良かった。

 友達からの協力を得ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンドて、俺は歌を歌ったシング・ア・ソング。ツイストして、シャウトした。エミリー。彼女ドラムをバンと打ち鳴らしたシー・バンズ・ザ・ドラムス。彼女はダンシング・クイーンだ。

 そして、俺たちはバンドになったんだ。全ての若き野郎ども。日々の夢想を信じるものデイドリーム・ビリーバー。手を取り合って。ハートに火をつけて。輪になって踊ろう。レッツ・ダンス。

「太陽の下で目覚めるとどんな気分? みんなを照らすとどんな気分?」

 エミリーが言った。*3


 素敵じゃないか。グッド・バイブレーション。ハイスクールはダンステリア。ロックンロール・ハイスクール。

こっちに来てノイズを感じろよカモン・フィール・ザ・ノイズ!」

 パンクをやってるスケーターボーイも、ロックなんか聴かないバレエガールも狂熱のライブ。アドレナリンに打ちのめされる。マーシャルのにおいで飛んじゃって大変。ベートーヴェンをもぶっ飛ばす。

 これがエンターテイメント、これがエンターテイメントというものさ。

お前たちをロックしてやるウィー・ウィル・ロック・ユー。レッツ・ゴー・クレイジー!」

 俺はシャウトした。*4



引用元

*1デヴィッド・ボウイ「スペース・オディティ」ビートルズ「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」デヴィッド・ボウイ「スターマン」ビートルズ「カム・トゥゲザー」

*2平沢進「夢の島思念公園」エルトン・ジョン「アイム・スティル・スタンディング」

*3デヴィッド・ボウイ「ジギー・スターダスト」ケミカル・ブラザーズ「レット・フォーエバー・ビー」

*4アヴリル・ラヴィーン「スケーターボーイ」山崎まさよし「アドレナリン」椎名林檎「丸の内サディスティック」ザ・ジャム「ザッツ・エンターテイメント」

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