第五話ひみつ

 病院内。1人の医者が回想する。坂本龍沙(青年)についてだ。「あいつが記憶思い出したって聞いた時びっくりしたが事件のことについては思い出してなくて安心したぜ」医者は青年について何か知っているようだ。「俺があいつを殺したっていうことを思い出してたら危なかった。しかも担当医だからバレる可能性高かったけどそのままバレずに自殺してくれるなんてな。」医者はニヤニヤしながら手元を見た。そこには分厚い札束。その札束は一万円札ではなく千円札だった。

 ある日、それは青年が記憶をなくす前の話であった。青年はスマホを彼女と眺めていた。部屋は薄暗くとても綺麗とはいえないようなところであった。

 青年達はお金に困りながらもなんとか生活している状況であった。「こんな生活もう続けられないよ」彼女がいう。「2人で天国行かない?」青年は彼女に向かって言い放った。2人は見つめ合った。意見は同じで固まっているようだ。青年はスマホを取り出し彼女に見せた。「これよく無い?」とあるサイトであった。『1人で自殺できない人後押ししますよ』2人は無言でサイトを見ている。2人の指が自然とサイトの参加ボタンを押した。

 1週間もしないうちに集合場所と時間が伝えられた。「こんにちは!本日はありがとうございます。」男が青年達に語りかけた。青年は男に現金を封筒で手渡した。「本日はどのようにしましょうか?」男は2人に言った。2人は無言のまま。男が続ける「おまかせコースなどもございますが?」青年が重い口を開けた。「じゃあそれで。」男はプランの説明をする。「お二人でこのお車に乗っていただきます。一定の時間が経つとハンドルの操作が効かなくなるので楽に旅立つことが可能です。」青年達は車に乗った。男は2人を見送り病院へと帰っていった。2人の乗る車はスピードが思ったよりも上がっておらず急にハンドルの操作が効かなくなった。2人は病院へと運ばれた。青年は助かり彼女は即死であった。

 医者は今も働いている闇を抱えながら。

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明日は君と @haku12_46

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