第3話 3つに分かれた分かれ道

 11人は、右に曲がったり左に曲がったり階段を上ったり下ったりと、よく分からないままに進んでいた。

アーシャ「…これ、一体どこまで続いてるの?」

キルシェ「元々の目的ってなんだっけ?」

ヨルム「遺跡から聞こえる音や笑い声を調べること!忘れないでよもー」

キルシェ「ごめんごめん!」

ヴィーシュナ「こんなに深いのに外まで聞こえるってことは、よっぽど大きな音なのかなぁ」

リス「反響に反響が重なったってことなのかな…」

カウル「???」

リヤン「カウル-!しっかりぃ!」

ペルシカ「ねぇねぇネイン、ムート、この遺跡の最新部に移動できるような魔法とかないの?」

ネイン「あるにはあるよね」

ムート「でも、ちょっと難しいんだよね」

ネイン「2人で一緒にやってみようか」

ムート「そうだね。1人でやるより成功の確率は上がるね」

ネインとムートは杖を構え、呪文を唱えた。

「「空間移動魔法テレポート」」

…が、何も起こらない。

ネイン「…あれ?」

ラルム「どした?」

ムート「魔法が、使えない」

ヨルム「…え?」

「「「えぇえ〜〜〜!?!?!?」」」

ヴィーシュナ「な、なんで!?どうして!?」

ネイン「分からないけど…なんか使えない」

ヨルム「ちょ、待って。ってことは…」

ヨルムは、近くに落ちていた小石に向かって言った。

『浮け』

…何も起こらない。

「私もダメだ。言霊が完全になくなってる」

ヴィーシュナも、ポンと手を叩いた。

それも、何も起こらない。

「あー!私もきなことくろみつたちのこと呼び出せなくなってる!」

カウル「…今回もしかして、ヤバイ?」

リス「物理戦力しか使えなくなってるね」

ペルシカ「ヴィーシュナたちがダメだったってことは、多分私もダメだなぁ…」

ラルム「ネイン、ムート、ヴィーシュナ、ヨルム、ペルシカが力を使えないってことは、キルシェのマジックとウチのBB弾、リスの教材とリヤンの薬、カウルのハサミ、アーシャの絵しかダメってことかぁ」

アーシャ「いや…私もダメみたい。さっきから何枚もトンボの絵描いてるけど、全然具現化してくれないもん」

リヤン「なぜトンボ?」

ネイン「見事に物理戦力が残ったね…」

キルシェ、ラルム「「This world culture is "GOIIOSHI"」」

ペルシカ「なんて?」

ラルム「自然の大切さとこの世の素晴らしさを語りました」

キルシェ「決してこの世界の文化はごり押し、なんて言ってません」

カウル「答え合わせ、どうもありがとう」

リス「それはともかく、どうしようか」」

ヨルム「もし戦闘になったら、すごく危ないよね」

ネイン「うーん…物理戦力が5人で、科学戦力が6人…」

ムート「物理戦力者といれば大丈夫なんじゃないかな」

ラルム「そもそも物理戦力者ってなんやねん」

ムート「まぁまぁ、それは置いといて」

ヴィーシュナ「…!みんな、あれ見て!」

ヴィーシュナが指さした先には、3つのトビラがあった。

リヤン「なんだろう、あのトビラ」

カウル「地獄、魔界、天国へのトビラかな?」

ペルシカ「なにそのあまりに危険度高すぎるくじ引き」

キルシェ「色が分かれてるね。右から赤、黄、青…って、これ信号機じゃん!」

リス「やっぱ信号機の『進め』の色って緑じゃなくて青だよね!」

キルシェ「リスもそう思う!?キルシェも緑ではないと思ってた!あれってどっちなんだろうね」

ヨルム「緑でしょ」

ペルシカ「青でしょ」

ラルム「だー!今はどっちでもいいやろ!なにその、たけの林かしいたけの森論争並の言い争い!」

ヨルム「争ってはいない!」

ペルシカ「まだ!」

ヴィーシュナ「争いの予定を立てるなー!」

カウル「フラグよりヤバイでしょ!」

アーシャ「まぁ、なにはともあれ3手に分かれる必要があるね」

リヤン「組分けはどうしようか」

ネイン「戦力になる子が1人はいる方がいいよね。何があるか分からないし」

ムート「それぞれの特性も考えないと」

リス「えーっと、じゃあ整理しようか。まず、キルシェのマジック。これはどこでも使えるんだよね?」

キルシェ「はい!そうです!」

ペルシカ「ラルムのBB弾は、弾切れの可能性あるから考えないとね」

ムート「カウルも、お花とかハサミ使うから制限があるね」

ネイン「リスの教材攻撃も、チョークがなくなれば戦えなくなっちゃうね」

リス「そうだね。じゃあ、ラルムとカウルと私でとりあえず組もうか」

ヨルム「リヤンは山程薬持ってるし、なんなら無敵だよね」

リヤン「それはさすがにないと思うよ?」

ネイン「最悪、私もムートも杖振り回せば物理戦力になれるよ!」

ムート「ネイン、それは力技っていうんだよ」

ネイン「あれ?」

キルシェ「キルシェ、赤信号…じゃなかった。赤いトビラのところ行くよ!」

ヨルム「じゃあ、私もキルシェについていくよ。心配だからね」

ペルシカ「同じく私もついて行く〜」

キルシェ「なんで?」

ラルム「じゃ、ウチ2番目の黄色信号行くわ。カウル、リス、いい?」

カウル「いいよ〜」

リス「もちろん!」

ヴィーシュナ「じゃ、私もついてく〜」

リヤン「なら、私は青信号に行くとしますか」

アーシャ「私も一緒に行く〜」

ヨルム「ネインとムートはどうする?」

ムート「じゃあ、私はリヤンとアーシャといくよ」

ネイン「私は…キルシェたちについていこうかな」

キルシェ「いらっしゃい!」

ラルム「無理は絶対禁物。ヤバなったりしたら遺跡の入り口前集合!でいいよな?」

アーシャ「ひぇぇ〜…またあの階段登るのぉ…?」

リヤン「アーシャ、頑張ろう!」

ペルシカ「あ!そうだ!円陣組もう!」

11人は全員肩を組み、一斉に声をそろえた。

ペルシカ、ラルム「「探索開始ー!!」」

「「「おー!!!!」」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る