第2話 町外れの遺跡へ 

 土曜日…ネイン、ムート、キルシェ、アーシャ、ラルム、カウル、ヨルム、ヴィーシュナ、ペルシカ、リヤン、リスの11人は明山のふもとにある山上公園に集まった。

アーシャ「どうしたの?こんなそろいもそろって」

ペルシカ「みんな、町外れの遺跡のウワサは知ってる?」

ヴィーシュナ「知ってるよ。最近、藤石町内で有名になってきてるよね」

リヤン「それがどうしたの?」

ヨルム「そのウワサの正体、みんなで暴きに行かない?」

キルシェ「え!?それはさすがに危なくない?」

リス「いやでも…私は賛成かも。最近その事で怖がって遊べなくなってる子達が結構いるんだよね。なるべく早く、その子達を安心させてあげたいと思ってたんだ」

ムート「リスは優しいね」

ネイン「ホント、教師の鏡だね」

リス「えへへ〜。ありがとう」

アーシャ「でも…私はちょっと不安だな…。あの遺跡って、中に何があるのか分かってないんでしょ?それに、遺跡って結構神聖な場所だし…。気軽な気持ちで入って良い場所ではないよね」

ラルム「いけるやろ〜。『赤信号みんなで渡れば怖くない』って言うし。みんなで行けばいけるって」

リヤン「お巡りさんがそれを言って良いの?」

キルシェ「あれ、そういえばラルさん、今日交番は?開けっ放しにしてきたの?」

ラルム「それはさすがにないって。泥棒入ったら困るし。ドアは閉めてきた」

カウル「店じゃないんだから…」

リヤン「それにドア閉めただけなの!?鍵は!?」

ラルム「いけるいける!どうせ誰も来んし」

ムート「藤石町の交番の、悲しい現状…」

ラルム「こっちは暇できるけん大喜びやけどな!」

カウル「ドヤることではないやろw」

ペルシカ「じゃあ、遺跡に行くってことでいい?」

「「「さんせーい!」」」

ヨルム「よーし!じゃあ行こう!」

「「「おー!!!」」」

ペルシカ「あ、行く前に人数確認しとこ!点呼ー!」

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「10」「11」

ペルシカ「点呼完了!全員いるね!」

リス「じゃあ、出発しようか」

ヨルム「そうだね。…1つ聞きたいことあるんだけどさ」

リス「ん?どうしたの?」

ヨルム「遺跡ってどこにあるの?」

「「「知らないんかい!」」」

ヨルム「いやぁ、あんまり行く機会なくってね〜」

カウル「遺跡は、この明山の1番上にあるんだよ」

キルシェ「トチュウノオハカガコワイナンテイッテナイヨ」

ラルム「誰も聞いてないやん」

キルシェ「よし!ヴィーシュナに全部任せて逃げよう!そしたらオバケも動物たちに癒されるはず!」

ヴィーシュナ「全部聞こえてますけど?」

キルシェ「ごめんなさーい!」

ラルム「あーあ…ソアの雑なフラグ、回収してもうた…」

ヴィーシュナ「ソアだから仕方ないよ」

ソア「ソアだからってなんやねん!」

ネイン「あれ、今一瞬ソアの声が聞こえたような…?」

ムート「気のせいじゃない?」

アーシャ「山道きついよう」

リヤン「いける!みんなで頑張ろう!」

ペルシカ「行こー!しゅっぱーつ!」

 そうして、11人は山道を登り始めた。

アーシャ「う〜…遠い…。なんで明山ってこんなに坂道急なんだろう…」

「頑張れアーシャ!もうちょっと…では全然ないけど頑張れ!」

アーシャ「それ言っちゃダメでしょ」

リヤン「ごめんごめん!」

カウル「子供たちも、こんなところでよく遊べるね〜。ここまで来るのに結構きついのに」

リス「ここら辺は遊具がある公園がそんなにないからね〜。山上公園はそこそこの広さあるし、楽しいんだよ。きっと」

ヴィーシュナ「あ、お墓見えてきた」

キルシェ「お、おおおおおお昼だからね!こ、ここ怖くなんて、なっ、なななないよ!全然!」

ペルシカ「その割にはめっちゃ動揺してるやん」

ムート「前の一件でオバケは見たでしょう?」

カウル「シェル、可愛かったな〜」

キルシェ「あの子は怖くなかったからオバケじゃない!」

ヨルム「キルシェのオバケの定理ってなんなんよ」

キルシェ「怖いのと話通じないのと、半透明なことかな!」

リヤン「んー?ちょっとよく分かんないなぁ」

リス「いやまずオバケを見たことがあるって言う前提をおかしいと思って?普通はありえないからね?」

ムート「それはそうだね」

ラルム「ってかウチ、家に帰ってるのとおんなじルートなんやけど」

ペルシカ「ラルムの家は明山の上の方にあるもんな」

ネイン「毎日帰るのキツくない?」

ラルム「んー…慣れた!」

アーシャ「慣れるとかある?」

ラルム「あるある。体力ついてくるけんな!アーシャも運動してみたら?」

アーシャ「絵描きには厳しいですな…」

ヴィーシュナ「あ!見て見て!遺跡見えてきたよ!」

ペルシカ「お、思ったよりもボロボロ…」

カウル「遺跡だからじゃない?」

ヨルム「おぉ…なんか崩れそうで怖いな…」

キルシェ「ヨルム!大丈夫だよ、安心して!」

ヨルム「お、これは励ましてくれる感じかな?」

キルシェ「この世で1番怖いのはゲームのセーブデータが全部飛ぶことだから!」

ラルム「なんやそれ」

ヴィーシュナ「あんまゲームしないから分かんないや」

ネイン「分かるー!めっちゃ悲しい!」

キルシェ「ネイン!分かってくれるんだね!」

ネイン「うん!すごくよく分かるよ、キルシェ!」

リヤン「な、なんか同盟組まれた…」

リス「って、いつの間にか話が変わってるけど、入る?」

ムート「うん。入ろう。(虫がいませんように…)」

アーシャ「ムート、虫嫌いなんだね」

ムート「はい、嫌いです。大嫌いです」

アーシャ「お、おぉ、すごい勢いで肯定された」

11人は、そーっと遺跡の中に入った。

ペルシカ「あれ、思ったより暗くないな」

リヤン「ホントだ!なんか、変に明るいね」

リス「電気もないし、日の光もないのになんでだろう」

ムート「うわぁー!虫!!!」

ラルム「ただのクモやで〜。うわ!クモの巣!」

キルシェ「生き物ですらないじゃん」

ラルム「ビックリしたんやから仕方ないやん」

ヨルム「まぁ、確かに目の前にクモの巣あったらビックリするかも」

ヴィーシュナ「ラルムもよくあんな至近距離で避けれたなぁ」

ラルム「ふっふっふ…まぐれです!」

カウル「なんやねん」

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