第22話

羽青はトランプを持ったまま、ぽかんと固まっていた。

ベッドの上に美貌の美形メイドたちが円を作り、誰もがきらきらした笑顔でカードを配っている。


「あのー……」


「はい?」と美少女メイドたちが一斉に振り向く。


羽青はそっと声を落とした。


「なんで全員で……ババ抜きなんですか?」


「トランプ、嫌いでした?」

美形美少女メイドの一人がまじめな顔で尋ねる。


「いや、嫌いっていうか……夜のおつとめって言うから……」


「言うから?」

青羽が肘をついてにやりと笑う。


「てっきり……ごにょごにょするのかと……」


一瞬、しんと静まり返る。


「ごにょごにょ……したいですか?」

別の美少女メイドが小首をかしげて問う。


「私はどっちでもいいけど」

青羽は肩をすくめる。


羽青は顔を赤くして、視線を逸らした。


「……やっぱ……トランプでいいです……」


「かしこまりました♡」


ぱちんとカードを切る音が響く。


だが、そのすぐ隣で、別の美形美少女メイドがにこにこと羽青に寄ってきた。


「羽青様、あの……」


「え?」


「私……さっきフルーツたくさん食べたんです。この首の後ろ……嗅いでみてください」


美少女メイドは制服の襟を少し引き、うなじを差し出した。


「えっ……いいの?」


「どうぞ」


羽青はおずおずと顔を近づけ、そっと匂いを嗅いだ。

柑橘とミントが混じったような、爽やかで甘い香りがした。


「……、なんかいい香りする」


「でしょ?」

美少女メイドは満足げに笑った。


「私、眠くなっちゃった……」


そのまま羽青の肩に頭を預けてくる。


「ここで寝ます……」


「え、ちょっと……」


「私も……」

「私も……」

「私も……」


他の美少女メイドたちも次々にカードを置き、羽青にくっついてくる。


「ちょ、ちょっとみんな……」


気づけば、ベッドの上は羽青を中心に綺麗に折り重なる美少女メイドの群れになっていた。

ふわりと漂う甘い香りに包まれて、羽青はなんだか自分も眠くなってきた。


「……修学旅行の夜みたい……」


そう呟いた直後、羽青は小さくあくびをこぼした。

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