第21話

浴場の湯気を引きずったまま、二人は大回廊廊下を抜けて羽青の部屋へ戻った。

扉を開けると、そこにはずらりと並んだ十人ほどの超絶美形美少女メイドたちが、息を揃えて一糸乱れぬお辞儀をした。


「羽青様、お帰りなさいませ」


「青羽姫様、お疲れさまでございます」


青羽は思わず目を丸くし、ぱちぱちと手を打つ。


「うわー、すっごい。なんなのこの美少女軍団。ねえ、羽青、見てこれ。ちょっとレベル高すぎない?私とこのメイドたちより明らかに上だわ」


「そうなの?」


羽青はまだ湯上がりでぼんやりしていて、目の前に立ち並ぶ美貌の“メイド”たちをただ呆然と見つめていた。


青羽はにこにこと羽青の耳元に顔を寄せる。


「それより、どの娘にする?」


「え?」


「選ぶんだよ。羽青の担当を」


羽青は頭の上にハテナを浮かべた顔をする。


「……担当?」


「そう。夜のおつとめの担当」


「なにそれ、夜のおつとめって何するの?」


青羽はいたずらっぽく唇を歪めて言った。


「とにかく最初だから、わかんないと思うし……今日は全員お願いしとこっか」


「え……全員って……」


「はい、これとこれとこれ、私の担当ね」


青羽は目の前のメイドの肩をぽんぽんと叩くと、三人の美少女メイドが小さく微笑んで「よろしくお願いいたします」と声を揃えた。


「羽青もさ、気に入った娘、選ばないと。じゃないと夜、寂しいよー」


「いや、あの……ちょっと待って、本当に何するの?」


羽青は一歩後ずさった。

だが青羽は容赦なく肩を叩いてきた。


「言っとくけどね、断ったらこの子たちのキャリアに傷がつくからね」


「ええー……こわい……!」


「何が怖いの、楽しいに決まってるでしょ」


青羽はにっこりと笑った。

その表情は優しいのに、どこか決定事項を告げるような迫力があった。


美形美少女メイドたちは一斉に羽青を見つめる。

全員がきらきらと完璧な微笑を浮かべ、まるで舞台の幕が上がるのを待つ女優のように一歩前に出た。


「羽青様、では……」


「……えー……」


青羽は羽青の湯上がりの髪を指で梳いてやった。


「安心して、最初は全部おまかせでいいから。じゃあ、楽しもうぜー」


「……う、うん……」


「さあ、はじめますよ」


メイドたちの声が重なった瞬間、羽青はもう一度、湯船に戻りたくなったのだった。


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