第12話
その頃、魔界では。
「魔王様、魔導師様が奪取されました、例の下着に付着した物質の分析結果がでました」
「聞こう」
部下は早口に言う。
「驚くべき結果です。というか成果です」
魔王は「続けよ」
「奪取した下着に付着した物質は女性の体内から分泌された物質、愛液と特定。 それから……」
「愛液から魔法でも検出されたか?」魔王はうんざりした口調で問い返すと。
科学者が遮るように、だか、静かに言った。
「魔法のようなものですな(笑)魔王様」
「何が見つかった?のだ?学物?」
「ミラルクローネ(超長命遺伝子)とナイトソード(賢者の剣遺伝子)です」
部下達は一同に声を上げる
「おおおーー」
科学者は続ける。
「そしてさらに、当該の、この娘のDNAは魔界国魔王様の姫君のDNAと完全に一致しました」
部下は拍手して、声を揃えて言う。
「素晴らしい成果ですん」
その報告は、魔界の玉座の間に激震を走らせた。
「……ほんまかいな」
魔王の低く重い声が、石造りの天井に反響した。
部下も科学者も、静かに頷く。
「間違いございません。DNA解析は五度にわたり、すべて一致を示しました」
科学者の声は確信に満ちていた。
「ミラルクローネ(超長命遺伝子)とナイトソード(賢者の剣遺伝子)の両方が、同一人物から?とな……?」
魔王の目が光を帯びる。
それはかつて失われたとされた、魔界の“正統の血”を示す組み合わせだった。
「それに……」
科学者は少し声をひそめた。
「人間界で確認された存在としては、極めて稀な融合状態。魔界の姫君の遺伝子と、現代の人間の遺伝子が完全な同調を果たしています」
「姫君……」
魔王はその言葉を反芻した。
長い沈黙ののち、目を閉じる。
「つまり、我が娘が……分離して人間界で生きている??」
「その可能性が極めて高いと、我々は判断しております」
科学者が言うと、部下が口を開いた。
「羽青という名の少女、神の配偶者と目されている人物に間違いありません」
「ならば……」
魔王は玉座からゆっくりと立ち上がる。
その姿に、場の空気が変わる。
「姫を、我がもとに戻す。――準備をせよ」
「はっ!」
全員が一斉に頭を下げた。
その瞬間、魔界の空がかすかに、薄明るく染まり始めた。
誰もが気づかなかったが、それはたしかに、長く続いた闇に一筋の光が差し込んだしるしだった。
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