第7話

朝の食卓には、微妙に重たい空気が漂っていた。

羽青は俯いてトーストをかじり、白巴菜は不機嫌そうにマグカップの中のミルクをかき混ぜている。


そこに、パジャマ姿の門蔵聡里がふわりと現れた。

「おはようございます」


二人は顔を上げず、無言のまま食事を続けた。

門蔵は首をかしげて椅子に腰を下ろす。

「……あれ? どうしたの?」


白巴菜は深い溜め息をつくと、わざとらしい声を上げた。

「パンツ盗まれた」


「ちょっ、門蔵さんに言わないでよ!」

羽青は慌てて白巴菜の腕を引いたが、白巴菜は構わず話を続ける。


「門蔵さん、羽青がね、パンツ盗まれたんですよ」


「あそ」

門蔵は事務的に相槌を打つだけだった。


「しかもね」

白巴菜は唇をつり上げる。

「履いてるパンツ(笑)」


門蔵の瞳が一瞬大きく開いた。

「……なに?」


「あ、同様した門蔵さん〜」

白巴菜が意地悪く笑った。


「かわいい……」

羽青がぽそりと漏らす。


門蔵は小さく咳払いをして表情を整えると、改めて羽青を見た。

「それで?」


「……それだけ」

白巴菜は肩をすくめ、面白がるようにミルクを口にした。


門蔵は一拍おいてから、真剣な声で呼びかける。

「羽青」


「はい!」

羽青はビクッとして背筋を伸ばした。


「後で話がある」


「……了解です」

小さな声で答えた羽青の顔は、ほんのり赤くなっていた。


白巴菜はカップを置き、わざとらしく目を細めてニヤニヤしていた。

「……青春だねえ」

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