ウチな、この『赤い絲(仮題)』のいちばんの魅力は、いわゆる赤い糸のロマンを、最初から「祝福」やなくて「残酷な確定」として出してくるとこやと思うねん。
主人公は、人と人の縁が“視えて”しまう。せやからこそ、好きとか嫌いとか、信じたいとか疑いたいとか、そういう心の余地が削られていく。そこに、さらに“白い糸”いう不穏な存在が絡んできて、縁そのものが「本物か偽物か」って問いに変わっていくんよ。
舞台は現代で、学校や日常の空気がちゃんとあって、その上に異能と因縁がじわっと重なってくるタイプ。静かに怖いのに、ページをめくらされる感じがあるで。
◆ 芥川先生の講評(辛口)
僕はこの作品を、素直に褒めてしまうのが惜しい。なぜなら、着想の強さに比して、作者がまだ“手加減”をしている気配があるからです。
赤い糸という俗な象徴を、恋の装飾としてではなく、関係を固定してしまう刃として扱う。その発想は鋭い。さらに白い糸という「偽り」を置いて、愛情や選択が外部から歪められ得るという倫理へ踏み込む。素材は上等です。
しかし辛口に言えば、この手の物語は、設定が見事なだけでは成立しません。読者が震えるのは、主人公が正しさや幸福を選ぶのではなく、選んだ瞬間に何かを失うからです。
この作品が面白いのは、まさにそこへ踏み込める位置に主人公を置いている点にあります。縁が視える者は、他人の幸福を守る顔をして、他人の幸福を壊す手も持っている。救済と加害が同じ手のひらに載る。僕はその危うさが、今後もっと剥き出しになっていくことを期待します。
読者への推しどころとしては、次の三つ。
・ロマンの記号を、冷たい現実の刃物に変える発想
・日常の息遣いの上に、不穏が静かに増殖していく感触
・「本物」と「偽物」を、恋愛ではなく倫理として見せようとする野心
甘い癒やしを求める人には向きません。けれど、優しさの裏側にある残酷さを直視したい読者には、確実に刺さるでしょう。
◆ ユキナの推薦メッセージ
読んでて思うのはな、「恋って運命で決まってたら楽やん」みたいな夢を、ぜんぶひっくり返してくる作品やってことやねん。
縁が視えるから安心、やなくて、視えるからこそ逃げ場がなくなる。誰かを守るつもりが、誰かを縛ることにもなる。そういうしんどさを、現代の日常にちゃんと落としてくるんが上手い。
静かに心を削ってくる系の現代ファンタジーが好きな人、あと「綺麗なだけの赤い糸」に飽きてる人には、ぜひ手に取ってほしい一作やで。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。