第八話 古来

 あれはやけにジメジメした日だった。そして、彼女のその後一生続く運命が定められた日でもあった。

 その日、彼女はいつも通り友達と共に学校へ行き、授業を受け、下らない事を話しながら帰路についた。きっと明日も明後日もこの様な日が永遠に続くのだろうと彼女はぼんやりと考えていたその夜、夕焼けの美しいグラデーションがすっかりと失われた時間帯に、その『最悪』が音を立てて彼女の平穏を打ち壊した。

 低く唸る様な音。地の底から響く震動が耳に重く押し寄せる。それが徐々に高まり、遂に鋭い叫び声のような破裂音へと変わっていく。彼女は何事かと思って家の中から窓を覗いてみようとしたその瞬間、別の音が彼女の耳に飛び込んできた。真上から聞こえてくる、雷鳴の様な音。それが聞こえたのと、彼女が気を失ったのは同時であった。薄れゆく意識の中、彼女の耳に最後に飛び込んできたのは父の悲鳴。苦痛と絶望が混じり合った、魂を削る様な叫び声。まさか穏やかな性格である父からあの様な声が出るとは……。


 「……リー……トリー……」

 それからどの程度の時間が経ったのだろうか。暗闇のどこかから母の声が聞こえてきた。朦朧とした意識の中ゆっくりと目を開くと――目の前には母が。彼女と同じ金色の、肩に掛からない程度の長さの髪を左右に分けた母。普段は父と同じ位穏やかな顔つきをしている母は何故か今、頭から血を流し、眉を八の字にして瞳孔を大きく広げている。辺りはすっかり暗くなっており、何が起こったのかいまいち分からない。どうして自分は突然意識を失ったのだろうか。父……そうだ、父はどうしたのだろう。気を失う直前、彼の悲鳴を聞いた気がする。

 頭を上げ、首を回してみると家が倒壊していた。壁中にはひびが走り回っており、家の中とは思えない程に瓦礫が散乱している。もう少し首を動かしてみるとすぐ横には巨大な岩が。デコボコとしており、黒ずんだ岩。高さはこの家の二階にも侵食する程だ。どうやらどこかから飛んできた岩が家に直撃したようだ。その岩の真上からは夜空が垣間見る事が出来る。その穴を中心として家全体が傾いてしまったのだろう。

 そしてその穴から漏れ出る星々の光が、『その光景』を淡くも、はっきりと照らしている。

 その岩に下半身を押しつぶされている、父の姿。その光景を。岩と地面の隙間からは鮮やかな血液が未だに広がり続けており、顔を地面に向けている為その表情を見る事は出来ない。彼女に向かって伸びている父の左腕。彼女は茫然として彼の左手を握ってみると――生命を感じる様な温かみが、一切残されていない。彼を圧殺した岩の様に冷たくなってしまった彼の身。

 一体どこから、そして何故この岩は飛んできたのだろうか。

 彼女は父の手を両手で包み込んだまま、もう一度その岩を見てみる。デコボコとしており、黒ずんだ岩。彼女はそれを何度も、何度も見てきた気がする。デコボコとしており、黒ずんだ……そうだ、この街を取り囲む城壁。それも確か経年劣化で古くなり、この様な見た目になっていたはずだ。しかしこの家は城壁からそこまで近くはない。すると城壁がここまで吹き飛ばされた、と言う事なのだろうか。爆発物、もしくは魔法によって?……魔法?まさか――。

 「マーナの奴等が……攻めてきたんだよ」

 母は彼女に向かってそう言った。その言い方には何の怒りの感情を読み取る事が出来ず、むしろどこか達観した様な言い方だった。父の手を握りしめて離さない彼女の肩に両手を置くと、

 「あなたはここから逃げなさい」

 再び冷静な声でそう言った。母の瞳の奥を見てみると、感じ取れたのは彼女の決意。何の迷いも執念もない純粋な覚悟。

 母は他者を生かす為、自らを殺そうとしているのだ。しかしそれは――。

 「でも……でも、ママはどうするの……?」とか細い声で彼女は尋ねた。

 彼女の言葉の後、母はすぐには答えなかった。二人とも口を閉ざすと、周りの音が聞こえてくる――誰かの甲高い叫び声に、獣が発する様な低い唸り声。

 三十秒程度経ち遂に母が口を開けた。

 「私と一緒にいると、目立ってしまう……あなた一人ならきっとここから逃げ出せるわ。私は……時間を稼ぐ。だから……」

 「そんな……いや――」

 その時二人の耳に入り込んできたのは、大地を叩く乾いた音。ザッザッザッ、と定期的に響いている……足音だ。これは足音に違いがない。そしてそれを鳴らしている犯人は、恐らくマーナ兵。とうとうこの辺りまでやってきた様だ。その音を聞き、二人ともハッと息を呑んだ。


 やはりそうだった。足音の正体はマーナ兵であった。

 母は家を抜け出した先にあった瓦礫に身を隠し、そっと顔を外に覗かせている。

 マーナ兵が二人。紺色のフードを深く被っている為分かり辛いが、体付きからして恐らく両方とも女だ。母とマーナ兵の距離は六十メートル程。破壊された壁がある方向から道を歩き、こちらに近づいてきている。だがこちらの存在に気付いている訳ではなさそうだ。巡回中、と言う事なのだろう。何かを喋っている様子はない。ただ黙々と歩を進めている。

 徐々に両者の距離が短くなっていく。十メートル、五メートル、三メートル。彼らが近づいてくるにつれ地面を掘る足音が徐々に大きくなっていく。母は息を殺し、二人が背中を見せるのを待つ。二メートル、一メートル、そして遂に――通り過ぎた。母が身を隠している瓦礫の横を通り、二人は更に歩を進める。彼らは今、母に背後を取られているのだ。

 このまま彼女を連れて逃げてしまおうかとも一瞬思ったが、恐らくそうした所でこの街を出る前に別のマーナ兵に見つかってしまうだろう。彼らに捕らえられたら何をされるのか分かった物ではない。その場で殺されるかもしれないし、一生奴隷になるかもしれない。やはり、ここで逃げる訳にはいかない。


 身を屈んだまま二人との距離を近づける。そっと、ばれないように、慎重に。薄い氷の上を歩くかの如く、一歩一歩を丁寧に刻む。

 母は一度、自分の右手を見てみた。そこに握りしめられているのは一本のナイフ。刃の部分は光を反射し、輝いて見える。まるであの娘の未来の様ではないか。彼女はこれから輝かしい人生を送るはずだ。そうに決まっている。こんな所で死ぬべき子ではない。

 最初に狙うは向かって左の女。右の奴と比べも一段と背が低く、抵抗されたとしてもすぐに息の根を止める事が出来そうだ。

 二人の一メートル程後ろに潜む母。もう十分近づいたと判断した瞬間、さっと身を起こして駆け寄る。左の女の顔を左腕で挟み込み、刃をその首に突き立てた。そして思いっ切り力を加えると――首元から噴水の様に噴き出るは、真っ赤な血液。空中を鮮やかに彩り、地面を赤く染める。数秒もしない内に絶命したのかその女は全体重をこちらに預けてきた。

 「フィリア!?」

 もう一人のマーナ兵がそう叫んだ。だがもう遅い。フィリアとか言う女を地面に放り投げ、今度はもう一人の方にナイフを振りかざす。深々と刺さったのは、そいつの左手。手の平から侵入したナイフは肉の塊を突き抜け、先の方は手の甲に姿を現している。上手く防がれてしまったのだ。急いで引き抜き、もう一度振りかざす。

 大丈夫、こいつはまだ状況を呑み込めていない。さっきのは偶然に過ぎない。落ち着け。今度こそ――。

 母の急速な思考を妨げる様にして、突如その場に場違いな音が鳴り響いた。パチン、と指を鳴らす音だ。どこから?――この女からだ。この女が突然指を鳴らしたのだ。パチン、と。どうしてそんな事をしたのだ?気でも狂ってしまったのか?いや、そんな事どうでも良い。こいつもさっさと殺してしまおう。そうしたら――。

 次の瞬間、母が感じ取った物は――熱。右手からだ。右手が突然熱くなった。手の平に焼き付く感覚が走り回る。一瞬だけ何かが焦げ付く匂いが鼻を掠めた。今、右手に握りしめている物はナイフのはずだが。目をその女から自分の右手に移してみて気が付いた――ナイフが緑の炎に包まれている。

 「……え?」

 ナイフの上でうねる緑の炎。それはまるで生きているのかの様にして刃から柄、そして母の右手に侵食していった。重鈍で鋭い炎は手の皮膚を突き破り内部へ侵入すると同時に右腕を伝う。母は急いでナイフを投げ捨てたが意味はなかった。緑の炎は続けざまに顔面を炙り、胴体にも侵食し始めた。

 それから母の全身が緑の炎に包まれるまで、十秒も掛からなかっただろう。

 もはや熱を感じ取れる程の意識は残っていなかった。ただ漠然と、炎が身を包んでいるのだろう――その程度の事しか感じられない。急に足に力が入らなくなり、膝が地面付いた。視界の方も、もう駄目らしい。端から中心に向かって何か黒いものが侵食している気がする。

 自分がここで死ぬ事は分かっていた。覚悟もしていた。しかしまさか、この様にして死ぬとは。とうとう視界の全てが黒に包まれようとしている。

 せめて最期に瞳に入れておくのは、あの子でありたい。

 そう思い、母は自らの家があった方へ首を曲げると、瓦礫の隙間から彼女が母の事を見返していた。相も変わらず今にも泣きだしそうなその顔。

 ああ、愛おしい子よ。どうか生き延びてくれ。そして、この残酷な世界の中で藻掻き、苦しみ、それでも前に進み続けてくれ。

 燃えゆく母の頬に一筋の水が伝い落ち、母の身から緑の炎が消え去った時には既に塵一つすらもその場には残されていなかった。

 母を殺した緑の炎使いは虫の息であるフィリアと何かを語り合っている様子だ。どこか遠くの方でイフリートの雄叫びが聞こえてきた様な気がする。しかしそんな事はもうどうでも良い。自らの内に溢れかえる感情が彼女の目から流れ落ちている事すらも気づかず、その光景を自らの網膜に焼き付ける。胸の内を支配する感情を忘れてしまわないように。彼女の胸に宿る復讐の炎が、一生をかけても消えてしまう事がないように。

 それが彼女――いや、アトリーが魔法部隊に入る決意をした理由である。

 それが十二年前、アトリーの故郷・ミフュースで起きた事件である。


 ミフュースを命からがら逃げだしたアトリーは、その後の九年間をミフュースを西に進んだ先にある極寒の町・『ヒペリオン』で過ごした。

 最初に彼女を驚かせたのは、ヒペリオンに建つ家々であった。二重窓、厚い壁、急勾配の屋根。どうやらそうやって工夫をすることにより寒さを凌いでいる様だ。それにコートも長靴も驚く程高く、そこの伝統食は味付けが強すぎて余りにも不味い。九年間そこに住んで気付いたのは、どうやらヒペリオンには四季の存在が薄く、常に冬の真っただ中にあると言う印象だ。

 アトリーはヒペリオンに越してすぐに魔法部隊に入った。

 初めは各個教練、部隊教練、指揮法、軍事講話、射撃訓練等様々な物事を叩きこまれたが、すぐにアトリーは順応した。実際の戦場に送り込まれた際にも最初から安定して手柄を取り続けた。そしてミフュース襲撃から九年後、彼女はオルト国帝都・『マーナ』に呼び出された。


 帝都・マーナはヒペリオンから北東に、馬車で一日半程掛かる場所にあったようだ。『ようだ』と言うのは、マーナから使いが来て実際に馬車で移動したのに掛かった時間がその程度だったからだ。

 馬車には窓一つすら無かった為、帝都の様子がどの様な物であるのか見る事が出来なかった。それだけアトリーが人目についてはならないような任務が課せられる、と言う事なのだろう。

 「降りろ」

 そう言われたのは、馬車が帝都に入ってから一時間程経った後の事であった。恐らく今、自分がいるのは帝都の中心地辺りであろうか、と思いつつ馬車を降りる。

 すぐに目に飛び込んできたのは巨大な宮殿。八角形の基壇に立っていて、青と白のタイルで装飾された外壁。その上に輝く黄金色に大きな円形のドームが特徴的だ。アトリーがしばらく宮殿の装飾具合に見とれていると、付き添いの使いが後ろから小突いてきた。早く中に入れと言いたいのだろう。

 そのまま使いに連れられて宮殿に入り、歩を進める。内部もかなり豪勢な作りとなっている。無駄に高い天井、そこに飾られているシャンデリア。床には埃一つ絡まっていない赤色のカーペットがどこまでも続いている。

 そして辿り着いたのは、大きな鉄製の門。両開きになっており、それぞれに丸い取っ手が付いている。いかにも金が掛かっていそうだ。余りにも自分の審美眼とは異なっているのだが、まあ、金持ちなんてそんな物なんだろう。そう言えばヒペリオンからずっとついて来ているこの使いは、パリッとした無地のスーツに皺一つない真っ白なシャツ、センスが良いのか悪いのか分からない黒を基調として紫の斑点が入ったようなネクタイを付けている。腕には豪勢にも純金の腕時計が纏わりついているではないか。こいつもこんな感じの鉄製の門をカッコ良いとでも思っているのだろうか。

 ギイ、と歪む様な音を立てて扉が開き、その奥が明らかになる。扉から地続きの広場。相変わらず高い天井に、左右の良く分からない縦長の窓。宮殿に入ってからずっと続いていた赤色のカーペットはその広場を通り、そこを進んだ先にある階段に続いている。その階段の先には、一人の男が椅子に座っていた。

 背もたれが高くそびえている、赤と黒で彩られたキングチェアに腰掛けるマーナ国皇帝・『アーク』。長い金色の髪は腰まで伸びており、その肌は皺一つ無くきめ細かい。彼が座っているキングチェアの奥にはこれまた大きな窓があり、そこからの光のせいで彼の顔をはっきりと見る事は出来ないが、それでも一重の眼の奥にある二つの紫色の瞳は見て取れた。何故だろうか。アトリーにははっきりと視認すらできない彼が、どこか人間離れした様な存在に感じてしまった。神か仏か、何かより高次な存在に。

 使いは歩を進め、階段の前で立ち止まった。一瞬の間を置いて深く息をつくとスッと膝を折った。左膝を地面につけ、右膝は立てたままの状態。そのまま左手を地面につけると、自然とそこに彼の体重が押しかかる。肩を下げ首を深く折ったまま彫刻の様に静止すると、何だかその使いにもアークの神聖さが移ったかの様だ。

 アトリーは彼の後をついていき、取り敢えず見様見真似で似た敬礼をした。そのポージングを練習した事は無かったがアークは満足した様子だ。彼は僅かな笑みをその顔に浮かべると、

 「君がアトリー君……だね?遠方のヒペリオンから遥々来てくれて感謝する」

 アークの声は思ったよりも穏やかな物であった。彼は大国を統べる者なのだからもっと野太い、傲慢そうな声色を出すのかと思っていたのだが。

 アトリーが内々に考えた事を気付く由無く、アークは話を続ける。

 「君の戦場での活躍ぶりは聞いているよ。そんな君に大役を一つ課そう」彼は姿勢を若干前のめりにすると、「マーナ国に潜入し、軍に忍び込んでくれ。そしてあの国が所有する二体の召喚獣・イフリートとアレキサンダーを奪取してきて欲しい。その任務の遂行を確かな物にする為、君にタイタンを与えよう……長期間の任務になる事は分かっている。いくら時間をかけても良い、あの国から残りの召喚獣を奪ってくるんだ」

 成程、それが彼の望みであったか。確かにそれならここまでの道中で私の顔を誰にも見せたくなかったのは頷ける。帝都・マーナにはどこに敵の目があるか分からない。そいつらに私の顔を見せたくなかった、と言う事なんだろう。しかしまあ何とも都合が良い事だろうか。私の母を殺したあの緑の炎使いもマーナにいるはずだ。二体の召喚獣を探すついでにそいつも見つけ出し、殺してやる。

 「ああ、それと、君一人では行動を起こす幅が狭まってしまうだろう。付添人をつけようと思っている。君がヒペリオンからここまで共に付いてきた使用人、彼も君と一緒にマーナ国に潜入する手筈になっている。彼の名前はシニンだ」

 アークの言葉を聞き、アトリーは首を深く折ったまま隣にいる男を見てみた。

 こいつが私と共に付いてくるのか……まあ確かに、スーツの上からも分かる程には筋肉質で、屈強そうだ。私と同じ位には体術にも武器の扱いにも長けているんだろう。しかし私の足さえ引っ張らなければ、全てどうでも良い事だ。


 アトリーはその後、アークに言われた通りにマーナ国に侵入してマーナ軍に入隊した。その間に二体の召喚獣と緑の炎使いの捜索をシニンと共に秘密裏に行っていたが、有力な情報が得られる事はなかった。

 そうして何の成果も得られる事無く任務開始から三年目に突入しようとしていた秋、グレアの発言により事態が徐々に動き始めた。

 「君達が訓練兵を卒業して正式にマーナ兵になったら、アトラス要塞に攻め込もうと思っている」

 これは大きなチャンスに違いない。

 アトリーは興奮した感情を顔に出さないように押し殺しながら、頭の中でそう思う。

 要塞を攻めるには召喚獣の力が必須だ。つまり、イフリートかアレキサンダーの召喚士に接近出来るかもしれない。最低限彼らの顔だけでも見る事が出来たら大きな前進になるだろう。もし諸々が上手く行き二体の召喚獣を獲得する事が出来たなら、もうここにいる理由も必要もなくなる。こいつ等と一緒にいなくても良くなるんだ。


 しかしその日の晩に発生したのは何者かによるマーナ基地中枢への侵入事件。その事件が起こって初めて知った別の裏切り者の存在。オルトの者ではない。もしその様な人物がいるならばアークが私達に伝えるはずだ。ならば他国からの侵入者?いや、それもないだろう。そもそもオルト国とマーナ国以外の国は昔こそ多かったものの、現代においてはどちらかの国に吸収されたからだ。合併されなかった数少ない国は全て他国に攻め入る程の余力なんてない。ただ自治領を奪われないように細々と暮らしているだけだ。つまり政治的理由ではないのだろう。なら誰がどの様な目的があってこんな事をしたのか?自分の頭では答えに辿り着けそうにない。もしかしたらシニンが焦ってしまいこの様な事をしたのかもしれない。一度、彼と話し合うべきだろう。


 「いや、あそこに侵入したのは俺ではない。俺は寧ろ、お前が勝手に変な事をしでかしたのではないかとヒヤヒヤしていたからな」

 それが彼の答えであった。

 アトリーは何者かによるマーナ基地中枢の侵入事件の翌日、寮にあった適当な空き部屋を一つ借りて会話をしている。壁際に埃の積もった本棚と真ん中に机と椅子があるだけの部屋。窓から入ってくる夕日はシニンの顔を明るく照らしている。

 「そうか……」とアトリーは小さく俯いた。

 そうなると、本当に誰がこんな事をした?そもそも全てがマーナによるブラフ――と言う事はあり得ないだろう。

 黙り込んで考え込むアトリーに、シニンは言葉を投げる。

 「要塞攻略か……」俯いた顔を上げて、「どんな作戦で行くつもりなんだ?」

 「先ずはオルト兵を一箇所に集めて、その後に召喚獣、今回はイフリートを使って殲滅するらしい。私達は外側から要塞の監視をするだけだから、かなり動きづらいね」

 「召喚士については何か言っていたか?」

 「何も言っていなかった。でもイフリートの召喚士なら残穢を感じる事で分かるはず」

 「そうだろうな」シニンはしっかりとアトリーの顔を見て、「要塞には俺が行こう」

 彼の言葉を聞き、アトリーはかなり驚いた表情を見せる。部屋の外に聞こえない程度に声を張り上げて、

 「危険すぎる。ここは召喚士である私が行くべき」

 「いや、そちらの方が失敗した時にマズいだろう。大丈夫だよ、俺が何かやらかすように見えるか?」

 シニンは手を顎につけ、思考を巡らせている。どうやら彼は真剣な様だ。

 「……バハムートの方はどうするつもり?私ならタイタンの力を使って地面に潜る事が出来るけど、あなたにはそんな事出来ないでしょう?」

 「その時は……急いで要塞地下に続く階段にでも飛び込めばいい。バハムートの光線で要塞ごと木っ端微塵にされるかもしれないのにグレア達が攻略を行えるのは、最悪光線を撃ってきても地下に避難できるからだと思う」

 シニンの説得を聞いても尚アトリーは渋ってい様子で、無表情で目を伏せている。

 「心配するな。バハムートの召喚士の正体は未だに分からないが、よっぽどの理由がない限りは本当に光線を放つなんてしないだろう。イフリートの召喚士を殺してすぐ終わる。そしたらオルトに帰ろう……俺は妻に会わなければならないからな。お前にも会いたい奴等がいるんじゃないか?」

 彼の言葉を聞いた後、しばらくしてアトリーは肩を落とし息を吐いた。

 「……ああ、分かった」


 ここ最近頭痛が酷い。それに何だか胸が閊える。まるで心の中に霧が広がるかの様にモワモワとして、何かに急かされるかの様にソワソワとする。

 そう言えばあの日、ミフュースが襲撃されたその前の日もこんな感じだった気がする。これは私の身に何か悪い事が起きる予兆なのだろうか?そうすると、明日のアトラス要塞でも……?いや、そんな事はない。全部気のせいだ。取り敢えず明日、イフリートを奪取する事だけを考えれば良いんだ。大丈夫。きっと、全部上手く行く。


 アトリーが彼女の人生の要所要所に感じる嫌な予感は良く当たる。頭痛がし、胸が閊える感覚。それは、その日も同じであった。

 アトリーの瞳にバハムートの手により炎に包まれ、瓦礫と化した要塞が映り込んだ。焦りと後悔、一握りの希望。躊躇いもせず、彼女は顔を歪めて要塞に向かって走り出した。

 本当にバハムートが光線を放った。まさかバハムートの召喚士がここまで大胆な動きをしてくるとは。やはり要塞には私が行くべきだったんだ。もし彼の提案を無理にでも断っておけば。もしもっと早く本腰を入れてイフリートとアレキサンダーの行方を調査しておけば。もし、もし、もし――。

 いや、大丈夫だ。確かシニンは言っていたじゃないか。最悪バハムートが光線を放ってきても地下に逃げ込めば良い、と。きっと彼なら首尾良く上手く行き助かっている可能性だって十分あり得る。まだだ。まだ、こんな気持ちに飲み込まれる様な時ではない。


 案外、シニンはすぐに見つかった。いや、実際にはそれの首から上が大きな岩に圧し潰されていた為正確に彼だと分かった訳ではないが、その死体の着ていた服がシニンとの別れ際に着ていた服と同じだったのと、それの手元にはイフリートの結晶が握られていた事からそう判断したのだ。きっとイフリートの召喚士を殺して奪い去る事は出来たが、バハムートの光線を避ける事が出来なかったのだろう。

 手の平で握りやすい程度の大きさで、ガラスの様に透き通った色合いの結晶。アトリーは何の躊躇いもなくそれを拾い上げた。冷め切った父の手を握りしめた時に感じたあの冷酷さ。アトリーはそれをイフリートの結晶からも感じ取った。そう言えばこの岩は、あの時父を踏み殺した瓦礫に似ている。

 一体何の因縁があって、私はこんな思いをしなければならないのか。一体神はどんな恨みを持って、私にこんな仕打ちをするのだろうか。

 アトリーの脳内は真っ赤な感情で満たされていたが、存外にも冷静さがそれらの感情を包み込んでくれた様だ。彼女が力を籠めると、結晶はピキピキピキ、と亀裂が左右から走り始めた。それが真ん中で合流したのと結晶が鋭い爆発音を残して地面に散ったのは殆ど同時であった。中から漏れ出す透明な液体は指と指の隙間を通り、足元を湿らせる。それからアトリーは呼吸を整え、バハムートが着地していった地点に首を曲げた。

 あそこにバハムートの召喚士がいるのだろう。

 そう思い、アトリーはタイタンを召喚した。


 イフリートを通したシニンの記憶はその日の晩に垣間見る事が出来た。突如として脳内に溢れてくるは、あの時アトラス要塞に潜伏した時の記憶。

 グレア達はどうやってバレずに要塞に侵入するつもりだったのか疑問であったが、どうやら要塞の外にある排水管を使い要塞内部に侵入したようだ。その後はマンホールを通り地表に出てきて、梯子を上り建物群の上から忍び込んだ。シニンは彼らの後を追い、要塞に入り込んだ。

 彼の任務は二つ。イフリートの召喚士の殺害と、今回の要塞攻略についての伝達。

 先ずは召喚士を殺害してイフリートを回収し、その後に要塞に今回の侵略の事を教えて他の者達を一人残らず殺すなり捕まえるなりしよう。

 イフリートの召喚士を見つけられるかはかなり不安な要素ではあったが、すぐに見つける事が出来た。侵入するマーナ兵の内の一人、明らかにイフリートの残穢を纏っている者がいたのだ。それにそいつだけご丁寧に白色のフードを被っているではないか。後は召喚士が一人になったタイミングで殺せば一つ目の目標は達成できる。

 そしてそいつが一人になるタイミングもすぐに来た。地上に出て、要塞の端の方の建物の上。平らで無機質な屋根の上に白色のフードが一人佇んでいる。恐らくそこでオルト兵が集まるのを待ち、イフリートを召喚する手筈なのだろう。

 そんな作戦も、今から木っ端微塵に瓦解する。俺の手によって。

 白フードの後ろから建物を上り、背後から忍び寄る。少しずつ、足音一つ立てる事無く。彼の右手に添えられているのは一本のナイフ。

 「悪いな……ここで死んでくれ」

 そう思いながら、一歩ずつ近寄る。そして一気に駆け寄り、その喉元に刃を突き立てた。白フードの口元を押さえつけ刃物に力を加えると、首元からは鮮やかな露わになる。そのまま彼は、ゆっくりと息絶えた様だ。全体重を彼に預けてきた。

 「後はアトラス要塞にこの事を伝えるだけだな……」

 そう思いながら丁寧に白フードの死体を足元に置いた。フードを取ってみると、丸坊主の、額と口元に小皺の多い男の顔が虚ろな目をシニンに向けている。数秒の間、暗い顔でその死体と眼を見合わせた後、イフリートの結晶を手に入れようと手元を見た時――違和感に気付いた。

 彼の手元には、何も無い。イフリートの結晶も、何も。

 召喚士は死んだ瞬間、その手元に結晶が生成されるはずだ。それが無いと言う事は――。瞬時にそう思考するシニンの足元に、上から降ってくる何者かの影が映し出された。対処出来る間もなく、シニンはその影に押し倒された。うつ伏せに倒れたシニンの上に、何者かが跨っている。どうやら彼の後頭部はその影の手に押さえつけられている様だ。

 「まんまと罠に掛かっちゃったね~~」

 そんな飄々とした声で分かった。上に跨っているのは――グレアだ。そこに他の足音が複数近づいてきた。皆、要塞に侵入していたマーナ兵。

 「君は確か……シニン、って言ったかな?残念だけどね、そいつはイフリートの召喚士じゃないよ。本物はこっち」とグレアは親指で後ろにいる人物を指した。

 本物のイフリートの召喚士はフードを身に付けておらず金髪のモヒカンと少し痩せこけた顔が露わとなっている。

 そうか、どうやらずっと嵌められていた様だ。ついさっき殺したあの男からイフリートの気配を感じていたが、もしかするとそれを放っていたのはあの男自身からではなく衣服の方からだったのかもしれない。召喚士の残穢が長時間身に着けていた物に移ると言うのは良くある事だ。するとあの男はオルトの捕虜だったりしたのか?

 シニンは本物のイフリートの召喚士を見て軽く舌打ちした。

 「スパイがいるって分かっているのにこんな要塞攻略とかする訳無いでしょ?この作戦は君を捕える為の物だったんだよ……?さて、ここからが本題だ」ニタリと気味の悪い笑みを浮かべ、「他にも仲間がいるよね?だって君、小柄じゃないもん。つまり、他の人物が軍事基地の中央の建物内に侵入したんだよね?それ、誰?そいつがバハムートを継承しているの?」

 グレアが矢継ぎ早に聞くにつれ、彼女のシニンを押さえつける力が強くなっていった。

 「……殺すなら早く殺せ。俺が……何か喋ると思っているのか?」

 「ああ、そう。それでも良いんだよ?このまま君を――」

 グレアはその時、喋るのを止めた。彼女は、いや――全員が、気付いてしまったのだ。

 その瞬間突如としてそこにいた皆が感じた、圧倒的存在感。目に入れなくても分かる、その絶対的な恐怖。上空を直接見なくても分かる、死への先導者。

 空間が歪み、体にある全ての穴から冷汗が噴き出す。身が竦み、何もする事が出来ない。理解したからだ。『その召喚獣』の矛先は――今、地を踏みしめているこの要塞である事を。

 「召喚獣……バハムート……」

 誰かがそうポツリと呟いた時、シニンはグレアの自分を抑え込んでいる力が弱まっている事に気付いた。彼が無理矢理に起き上がると、呆然としていたグレアは地面に倒れ込んでしまった。地面に落ちていたナイフを拾い上げ、グレアの首元目掛けて振りかざす。しかし刃は彼女の首元ではなく、とっさに前に出した彼女の右手に突き刺さった。手の平から手の甲に向かってナイフは刺さっている。上手く防がれてしまった。シニンを襲う返り血。

 「クソ……殺したかったが仕方がない、だがイフリートだけでも……!」

 グレアからナイフを抜き出し、詰め寄る先はイフリートの召喚士。獣の様な形相で走り寄る。召喚士は恐怖で腰を抜かし顔を歪めると、

 「来るなァァッ!」

 突如としてその場に満たされる灼熱。空気は赤く染まり、蜃気楼は視界を歪める。召喚士のすぐ後ろで噴火でもしたかの様に一線の炎が天に向かて勢い良く噴き出し始めた。

 彼がイフリートを召喚したのだろう。

 その炎はシニンの顔を炙り、今にも溶けだしてしまいそうだ。だがもう遅い。ナイフを今一度握りしめ、そのまま彼の心臓を一突き。刃渡りの長いナイフな為、胸側から背中側にナイフはグサリと刺った。刃物の先から数滴血が地面に落ち、シニンはそのナイフを引き抜くと、正面で天に伸びている炎に引けを取らない程の勢いで血が宙に向かって溢れ出す。そして彼の右手に生まれ落ちるイフリートの結晶。急いでそれを拾うと、パリン、と握り潰した。中からは大量の液体が漏れ出す。

 「判断が・・・一歩遅かったか」とグレアは胸の内に思った。

 彼女は肩を落としてシニンを再び視界に収め、指をパチンと鳴らしたその瞬間――シニンの全身から緑の炎が顕現した。彼を緑色に明るく照らし、血肉を焼き払っていく。

 「コレはまさか・・・!アトリーの言っていた・・・緑の炎使い!?」

 呆気にとられたその時、上空から彼の身を暴力的な程の眩い光が襲い掛かる。

 見上げると、翼を持つ巨大な竜のシルエットが見え――そこで記憶が途絶えた。


 グレアが緑の炎使いだった。

 それが、シニンの記憶を介して知る事が出来た事である。

 確かにミフュースが襲撃された時はフードのせいで母を殺した者の顔が見る事が出来なかった。二体の召喚獣の居場所の捜索を主としていた為そこまで緑の炎使いの正体の追及を本気で出来ていなかった事もあるが、まさかここまで身近な場所に私の復讐相手がいるとは考えてもいなかった。アーネールが引き起こした騒ぎのお陰でバレずにイフリートを入手出来た。アレキサンダーの居場所は分からないが、もう良いだろう。既に手は打っている。私は最後にグレアだけ殺して、後は彼らに任せよう――そうだ、もしかしたらグレアが私の復讐相手ではないかもしれない。可能性としては低いが、天賦魔法が他者のそれと被ってしまう事もあるらしい。グレアが私の殺すべき相手である事を確かにする為、一応彼女の手の平を見ておこう。

 そう考えたアトリーはミランダに運ばれてきた片手銃一つを盗み出し、事に及んだ。


 烏の唄と茜の空。昼行性の生物が眠りの準備を始め、夜行性の生物は早起きならば目を覚ます。そんな時間帯の廃村・ミランダ。そこには人知れず復讐に駆られる者が。彼女が憎悪する人間の後頭部に銃を突きつけ、悲願するは十二年前の復讐。

 「君が、オルトのスパイなんだね」

 そう呟いたグレアの視線の先で、アトリーはゴミでも見つめているかの様な真っ黒な瞳で彼女の事を見返している。遂に彼女の旅は終着を迎えようとしており、後はその引き金一つを引くのみとなった。

 だが、その前に手の平を見なければ。右手に刺し傷があるのは知っている。要塞攻略の際にシニンが付けた傷だ。問題は左手。そこにも似た様な傷があれば、母を殺した人物を特定したと言っても良いだろう。

 アトリーは右手で銃を突きつけたまま、残りの左手でグレアの左手を見えやすい位置に持ってくると――そこには右手と全く同じの傷が。手の平に細長い傷が一つと、手の甲にも同じ長さの物が一つ。これは十二年前、母に付けられた物に他ならない。

 「答えろ。お前は十二年前に殺した人間の事を覚えているか?お前の親友とやらを殺した女の事を」

 その質問を聞いたグレアの横顔は分かりやすく硬直し、ハッと息を呑んだ様だ。彼女も何となく事情を理解したのだろう、断定的な口調で、

 「ああ、彼女を殺したのは私だ。間違いない」

 分かっていた。こいつが、私の復讐相手であった事など。

 それでもアトリーの腹の底には怒りの燃料が投入されていき、胸の奥底からは吐き出しても出し切る事の出来ない呪詛が溢れ出てくる。彼女は更に強い力で銃をグレアに突き付けると、

 「お前が……お前が!私の親を殺したんだな!私の故郷を壊したんだな!」

 もういい、これ以上この糞野郎を生かしておく理由も最早無い。人差し指に力を入れて、彼らに後の事を任せれば私はやっと――。

 「あー……一つだけ言っとくね」

 そんな飄々とした声がグレアの方から聞こえてきた。最期に命乞いでもするつもりか?いや、どうでも良い。どうせこいつは今から人間の形に残らないように殺すし、そんな奴の遺言など誰にも告げる訳――。

 「その銃に、弾は入っていないよ」

 …………?……何だ?この女は何を言ってやがる?そんな訳が無いだろう。ついさっき盗んできたこの銃に弾が入っていないなんて事……。

 頭の天辺まで昇っていた血が体に降りてきたのを感じながら、アトリーは試しに何度か引き金を引いてみた――カチ、カチと音が鳴るのみで、弾が出そうな気配は全く無い。その場にはただ虚しく空砲の音が響いている。

 弾が……弾が入っていない。一体何故?まさか――。

 「全員、突撃!」

 その様な声が響いた瞬間ドンと扉が開かれ、そこから土砂崩れの様にして流れ込んでくるマーナ兵達。それと同時に窓もパリンと音を立てて割れ、そこからもマーナ兵が雪崩込んでくる。

 突如現れアトリーを挟み込んだ数多のマーナ兵達。皆が険しい表情を携えており、アトリーをこの場で取り押さえようとしているのは明らかだ。そんな彼らに囲まれ、一秒後にはマーナ兵の山の下に埋もれていてもおかしくないその状況において、アトリーはその口にニヤリと薄ら笑いを浮かべた。

 私は嵌められたんだ。もう全てを理解した。この階がやけに静かであった事。多忙であるはずのグレアがすぐに二人になってくれた事。命の危機にあるはずの彼女が未だに余裕である事。

 全てが、私の仮面を剥がす為だったんだ。

 その時、アトリーが立つ地面にひびが入った。ピシッと音を立てて誕生した亀裂は蛇の様に床を這い、アトリーを中心として少しずつその姿を伸ばしていく。床を完全に呑み込むと今度は壁へ。壁の次は隣の部屋へ伸びていき、更にその隣の部屋へ。それと同時に下の階へも侵食していき、僅か数秒でハリス全体に亀裂が入った。

 窓も扉も逃げ道として使えない。それならば作れば良いだけじゃないか。逃げ道を、この手で。

 「来なよ、タイタン!!」

 そう叫んだアトリー。そしてその瞬間始まった崩壊。床も、壁も、建物全体が重力に従い落下を始め、ありとあらゆる場所で土砂の泣く声が。足元を失ったマーナ兵達は何とか周りの物にしがみ付こうとしたが甲斐なく空に放り投げられ、地面へと落ちるその一瞬の最中目撃したのは――。

 地面の中から姿を現しつつあるタイタン。人間が水中から陸へ上がる様に腕、顔、胴体、脚の順番に姿を現していき、その全身が露わになった瞬間ハリスの屋根も地面へと落下を。アトリーはタイタンの右手の平へと着地し、地面を這う皆に先程グレアを見ていた際と全く同じ目付きをしている。

 「やっぱり、君がスパイだったんだね……」

 そんな中、アトリーと目が合ったのはテレサだった。彼は今にも泣きだしそうな表情をしており、アトリーのそれとは真反対に近い。

 「アトリー……」

 未だに『森』の中を彷徨う彼ら。嘲笑う者は、何者か。

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