第12話

「ただいま」

 17時。家に帰ると、リビングでお母さんが夕食の支度をしていた。

「お帰り。なにかあった?」

 お母さんから聞かれ、首を振る。

「なにもないよ」

「でも、17時で帰ってくるなんて今までなかったよね」

 心配そうなお母さんの顔を見て、慌てて説明した。

「友達とお話ししてたら遅くなっちゃった」

 私の言葉を聞いて、お母さんの表情はぱぁっと明るくなる。

「そう」

 私は笑って、今日の出来事をお母さんに話した。美空ちゃんが声をかけてくれたこと。莉子ちゃんと初めてお話ししたこと。

 お母さんは嬉しそうに私の話を聞いてくれた。

「雨音の明るい顔、久しぶりに見たなぁ」

 お母さんからそう言われ、少し照れくさく感じた。

「一回部屋行くね。後でご飯手伝いにくる」

「ありがとう」

 私はリュックを置くため、部屋のドアをガチャリと回した。

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