第11話

その後も、美空ちゃんと莉子ちゃんはずっと私と一緒にいてくれた。

「望月ちゃん、給食一緒に食べよ」

 美空ちゃんはそう言い、机を動かす。

「莉子ー、麗華の机来てー」

「おっけー」

 莉子ちゃんが麗華ちゃんの机にトレーを置き、三人で机を並べる。

「いただきまーす」

 美空ちゃんと莉子ちゃんが言い、私も両手を合わせた。

「いただきます」

 私にとって、中学生初めての友達と食べる給食だった。

「私さ、ずっと望月ちゃんとお話ししてみたかったんだよね」

 美空ちゃんちゃんからそう言われ、少し驚いた。

 なぜなら、ずっと私は空気みたいな存在だと思っていたから。

「でもずっと麗華がいたから声かけられなかったんだよね」

 莉子ちゃんがそういって笑う。

「そうそう。ずっと私に話しかけてくるんだもん」

 美空ちゃんが頷いた。

「私てっきり、麗華ちゃんと仲がいいから一緒にいるんだと思ってた」

「んなわけないじゃん!」

 私が言うと、二人は同時に首を振った。

「麗華ちゃん、結構嫌われてるよ」

 そう言う莉子ちゃんに、美空ちゃんが続ける。

「毎日人の赤ペン使うし、授業中ずっと私の方向いてるし」

「そのせいで、美空も先生に目つけられてるもんね」

「そうだよ。マジ迷惑」

 その後も、麗華ちゃんの悪口を二人は続けた。

 何も変わらないのに、一時間に一回は髪を結び直すとか。勉強教えてと言いながら、人の答えばっかり映してくるとか。

 自分だけが苦手だったわけではないと知れて、安心した。

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