悲しみの涙

第1話

私が両親から生まれて初めて貰ったプレゼントは、望月 雨音もちづき あまねという名前だった。私はこの名前が嫌いだ。じめじめしていて暗くて全然良いイメージがない。

 だが世の中には、雨が好きな変わり者もいるらしい。

 ドロップ。彼は、雨は素敵だと言った。どんな汚れも洗い流してくれる涙のようだと。そんな彼は、涙の案内人だ。

 中学二年生の6月。私はドロップと出会い、ある挑戦をすることになった。それは4つの感情(喜び、悲しみ、恐れ、怒り)の涙を流すこと。(私はこれを涙の挑戦と呼ぶことにした)

 この挑戦を辞退すると、ペナルティを負うことになる。私も涙の案内人となり、日常を捨て働かなければならない。

 この挑戦に失敗すると、これまたペナルティを負うことになる。私の心が死に、何にも感じなくなってしまう。

 心が死ぬのは正直どうでもいいのだが、働くという事に抵抗のある私は、何としてもこの挑戦を成功させなければならないのだ。



 

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