第2話

私はベッドから足を下ろし、ドロップと向き合った。

「私が断ったらどうなるの?」

「心の責任を放棄したと見なされ、罰が下ります」

「罰って?」

「私たちと一緒に働いていただきます。涙の案内人になった場合、もう二度とこの生活はできなくなります」

 ドロップは、私の質問に淡々と答えていく。

「心は本当に死ぬの? 死んだらどうなるの?」

「はい、死にます。死ぬと、何も感じなくなります」

 何も感じなくなるって、どういうことなのだろう。もう悲しい思いや辛い思いをしなくても良くなるのだろうか。

「私はまだ元気なのかな」

「いいえ。現にあなたの心も死に近づいています。普通の方の場合、もしも部屋に変質者がいたら、驚いたり騒いだりするものです」

「自分で変質者って言っちゃうんだ」

「もしもの話です」

 私は、少し考えた。そして、ゆっくりベッドから立ち上がる。

「心が死ぬのはどうでもいいけど、働くのは嫌だな」

「かしこまりました。全力でサポートいたします」

 ドロップはにやりと笑った。

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