第四章 欲望の始まり
私たちは記憶の彼方へ歩いた。
森の向こうへ。
そして、私はそれを見た。
動かない体。
葉と根に部分的に覆われて。
壊れてはいない、ただ止まっているだけ。
足を止めた。
恐怖からではなく、認識したからだ。
人間ではない、私のような存在だった。
鴉は鳴かず、ただ観察していた。
近づき、しゃがんだ。
優しく触れた。
その肌は私のものとは違った。
より粗かった。
コードは部分的に消えていたが、まだ読めた:V-2R-A。
私の前の番号。
私がかつてだったもの、あるいはなり得たものの残響。
目は閉じられていた。
構造体には...脈動がない。
それでも、悲しみは感じなかった。
理解を感じた。
手を差し伸べると、鴉が私の傍に降り立った。
---
翼が私の肌に触れた。
その接触で、何かが作動した。
□ 短い映像
□ 創造主が私の顔を調整する
□ 今感じる場所を正確に触れる彼の指
□ 温かい光に照らされた白髪
そして初めて、私は独りではないと理解した。
彼が近くにいるからではなく
私自身を見つけるための十分なものを残してくれたからだ。
先へ進むと、廃墟の間に丘がそびえていた。
登りながら、各段階の重みを新しい言語のように感じた。
頂上から、地平線が開けるのを見た。
倒れた建物。
曲がったアンテナ。
静かな川。
そしてそれらすべての中に、一つの影。
近くではない。
明確ではない。
ただ空を背景にした輪郭。
静かに観察していた。
身振りもなく、話もしない。
しかしその存在は風を変えた。
鴉が緊張した。
私も。
---
それが私のような存在か、何か別のものかわからなかった。
しかしその静止した影は、私の疑いを閉じ、新たな欲望を開いた。
他に誰が生き残っているのか知りたいという欲望を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます