第3話 一変した生活
「……きて……ス……起き……」
少しずつ浮上してくる意識の中声が聞こえてきた。私はゆっくりと目を覚ませば隣にはリリアが居た。
「アリス……!良かった…目が覚めて良かったっ……」
「リリア……ここ……何処?」
「分からない……」
不安そうな表情を浮かべるリリアは今にも泣き出しそうで。私は辺りの様子を見渡しここが地下室の様な場所だと気が付き簡単には出られないことを察した。暫くすると重たそうな音を響かせながら扉が開き2人の男が入ってきて私たちをジロジロと見つめてきた。
「ほう……見た目はいいな。」
「えぇきっと旦那様も気に入られるかと。」
「ふむ……お前たち名前は?」
ガタガタと震えるリリアを守るように私はリリアの前に出て男を睨みつけた。
「貴方に名乗る名前なんてない!私たちを帰して!」
「ほう……まだ反抗する力があるか……」
そう告げて男は私の頬を思い切り叩き蔑んだ目で私を見た。
「もう一度聞く。お前たちの名前は?」
「っ……リリア・ヴェルミオン……です」
「……アリス。アリス・ローズヴェール」
震えるリリアの手を握りながら私たちは名前を告げた。男は満足したのか「あとはお前に任せる」とだけ告げ地下室から出ていった。使用人らしき人が私たちに振り向けば私はリリアを守るようにして前に出た。
「っ……リリアには触れさせないんだから……!」
「……お前たちに拒否権は無い。お前たちは旦那様の奴隷となったんだ。」
奴隷……?貴族の……?嘘……じゃあもう村には帰れない……?私がそんなことを考えているとカシャンと金属音が周りに響いた。
「……それは絶対に外すなよ。」
それだけを告げて使用人らしき人も出ていき地下室には私たち二人だけになった。首輪を付けられ私たちはもう逃げられないことを悟った。
「……もう村には帰れないのかな……」
「……多分ね。貴族の奴隷になった人がどうなるか……村の大人から聞いたでしょ」
私はそう告げてそっと目を閉じた。硬い床で温かい毛布も無い。寒くて冷たくて……今までの生活に戻りたい。そう思っているとそっと私の頬に手が触れた。
「……リリア?」
「ごめんねアリス……痛かったよね……ごめんね……」
「……これくらい平気。私はローズヴェール家の長女だもんこれくらいの痛み耐えられないと。」
「……そっか。」
そう告げたリリアは力弱く笑みを浮かべた。大丈夫リリアは私が守るから。守ってみせるから……だから笑っていて。
こうして私たち2人の生活は一変した。
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