第2話 奪われ失った日

「アリスやっと来た!遅いよぉ」


「リリア……全く夜中に湖を見に行こうだなんて……怒られても知らないよ?」


「そんなこと言ってアリス来てくれてるじゃん!ほら行こ!」


私、アリス・ローズヴェールはため息を吐きながらも親友のリリア・ヴェルミオンと一緒に村の奥の方にある森へ足を進め話をしながら目的地を目指した。


「確かこの道を……あっほら見えてきたよ!」


暫く歩き続けたあとリリアのそんな声で私はそっと視線を上へと上げた。そこには星と月の光を反射してキラキラと光る湖面があった。


「……綺麗。たまにはいいかもね夜に来るのも」


「でしょでしょ!また見に来ようよ!」


「分かった分かった。ほらそろそろ戻らないと……」


私はそう告げて踵を返そうとした時村の方向が一気に明るくなった。どうして?この時間に明るくなる事なんてない。何かあったんだ。その思考になった時私はリリアの手を握って村の方向へ走り出した。


「アリス……村のみんな大丈夫かな……お父さんもお母さんも大丈夫だよね!?」


「分からない……でも……早く行かなきゃ!」


走れ走れ走れ。息が苦しくても足を動かさないと!私たちは息を乱しながらようやく村へとたどり着きそこでの惨状を目にした。


「っ……うそ……」


「あ……みんな……?どうして……」


目の前に広がるのは壊れた家、燃える家、そして一面に広がる赤、紅、アカ……私は急な吐き気に襲われるもなんとか耐え動けずにいるリリアの手を握り直し無事な人を探そうとした。


「……生き残りがいたか。」


「っ……リリア逃げ……!」


知らない声がすれば逃げようと来た道を引き返そうと背後を向けた時私は思い切り殴られそのまま地面に伏せてしまった。意識が飛ぶ前見えたのはリリアが泣く顔と知らない男の顔だった。

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