第4話 地獄と絶望


次の日から私たちは地獄を味わうことになった。少しでも間違えればムチで叩かれ気に入らなければ殴られたり蹴られたりもしてだんだんとリリアの目からは光が消え笑わなくなった。そんな生活を続けて数ヶ月が経ち、私たちの心を折るには十分すぎた日にちが経っていた。


「……アリス。いつになったら自由になれるのかな……」


「……分からない。もう……自由なんて無いのかもね」


「……そうだね……」


そんな会話を地下室でしていると重たい扉が開けられ私たちは何とかそちらに視線を向けた。そこには私たちを奴隷にした貴族の男が立っていた。


「ふむ……もう抵抗する力も残ってないか。お前たちに打っている薬のおかげだな。」


そんな言葉が聞こえる。でももう何も考えたくない。考えられない。私たちが反応を示さなかったのが気に入らなかったのか彼は思い切り私たちを叩きおもむろに首へと注射を打たれた。


「っ……あ……熱いっ……!」


「熱っ……なに……これ……!」


打たれた薬がなんなのか、私たちがわかるはずもなく首を押さえて呼吸をするので精一杯だった。貴族の男は私たちの様子を見て楽しそうに笑っていた。


「多少の依存性のある新薬だ。生きるも死ぬもお前たちの気力次第だ。もし生きていたら……明日もお前たちで遊んでやるから楽しみにしていろ」


そう告げて扉は閉められ地下室に響くのは私たちの呼吸だけになった。喋れない。苦しい熱い打たれた首が痛い……誰か……誰でもいい……私たちを助けて……

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