第14話 差し入れ

翌日の仕事終わり…


「お疲れさまです。今日は皆さんに差し入れがあります」


熊田がおもむろにコーヒークッキーを取り出した。


「実は…手作りなんです」


熊田は少し照れながら、社員一人一人に配り始めた。皆の笑顔と驚きと賞賛の声があちらこちらであがっている。


「君が作ったのかね‼︎ 見かけによらんなぁ」部長がしげしげと熊田を眺めながら言った。


「ありがとう。熊田くん、帰ってから子供たちと一緒にいただくよ」

子煩悩の課長は嬉しそうだ。


「おう!熊五郎やるな〜」

田中と同期で去年本社に戻ってきた西崎さんがおちゃらけて応えた。


「熊田く〜ん!とってもおいしい〜♪作り方教えて〜!」


「私も知りた〜い!」


女性社員の古賀と木村が熊田を取り囲んで黄色い声をあげている。


熊田が1人1人に対応していく姿を胡桃は腕組みをして眺めていた。


「うまい!それにしても熊、お前にこんな才能があったなんてな…」


熊田と同期の坂本も絶賛している。


「田中、食べてないのか?」胡桃と同期の西崎がそばに来て言った。西崎は何かと胡桃を気にかけているようだ。


「田中さんもどうぞ」熊田は、2人の間にわって入った。胡桃を挟んで、西崎と熊田の目があった。


「みなさんに喜んでもらえて嬉しいです」

渡しながら、熊田はニコニコして言った。


「ふ〜ん…なるほどね…」西崎は熊田と胡桃を交互に見ながら小声で呟いた。





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