最終話 これからもよろしくね

彼と恋人としての初めてのカフェデート…(筋トレのほうが先だったけれど…)


今日は彼と一緒に猫カフェに来ている。


「か…かわいい〜‼︎」


「田中さん見てください!この猫ちゃんぐっすり眠ってますよ」


様々な毛色や模様の猫と遊んだり、モフモフの毛並みを撫でたりして、大満足の二人だった。


そしてもう一つのメインは、猫型のコーヒーラテアートとサクサクのワッフル…


「甘〜い!サクサクすぎる〜このラテも苦すぎず、甘すぎず、ワッフルとよく合う〜」


「田中さん、このワッフル、サク、ふわ、もっちりの三拍子です!!」



熊田はふと、差し入れの時の西崎の表情を思い出していた。


「田中さん、多分西崎さんは田中さんのことを好きなのではないでしょうか…」


「えっ、ないない!西崎とは入社も一緒で戦友みたいなものよ」


「そうでしょうか…」


胡桃は熊田の不安げな表情を初めて見た。


「それに私が付き合ってるのは…そのっ…熊田だし…」

胡桃は頬が熱くなっているのを感じた。それを隠すように、ラテをごくりと飲んだ。


その表情を見逃さなかった熊田は少し照れながら、嬉しそうに言った。


「ありがとうございます。田中さん…いえ、胡桃さん…」


「私に似合わない名前でしょ…ほとんど苗字でしか呼ばれなくて。こんな風に名前で呼ばれるのはじめてかも…」


「そんなことないですよ。カフェ好きで美味しさを素直に表すことができるあなたにぴったりの可愛らしい素敵な名前だと思います」


「ありがとう…」


私は猫じゃらしを振り回して、猫を誘っているふりをしたが、熊田の優しい言葉に一層顔の火照りがとまらなかった。



お店を出て駅までの道すがら、熊田が口を開いた。


「猫ちゃんたち可愛かったですね〜ワッフルもボリューミーで美味しかったし…」


「そうだね…」私はそっけなく言った。


「…ろう…五郎…誘ってくれて…ありがとう…!」


「へ⁉︎ えっと…」

私は五郎の方を見ると驚いて真っ赤な顔になった姿があった。


「私も名前で呼ばれるのは、慣れていなくて……胡桃さん、手を繋いでもよろしいでしょうか?」


「え⁉︎ええ、いいよ…」


「五郎、これからもよろしくね…」


私はにこりと微笑み、彼の方を見た。


「はい、こちらこそ、胡桃さんよろしくお願いしますね」


そっと握った手は大きく、温かいものだった。この日を私たちは忘れないだろう。



カフェ好き女と天然熊さん……二人の幸せな時間はこれからも続く。










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カフェ好き女と天然熊さん 桜川 椿月 (おうせん つばき) @OusenTubaki

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