第11話 筋トレ
「私は…あなたよりずいぶん年上だし、ぶっきらぼうで仕事人間だし…こんな私で本当にいいのかな…」
「そういうところ全てが好きなんです!だから、お願いします!!」
「……ありがとう。こちらこそよろしくお願いします…」
私は彼が差し伸べた手をそっと握った。
〜後日〜
「はあ…もう限界…こんなにもきついなんて…」
「田中さん、あともう一回ですから!」
「くっ…はあ…はあ…」
「お疲れ様です!お水どうぞ」
彼は水の入ったペットボトルを私に笑顔で手渡した。
私たちが恋人になって一週間が経った。まさか、恋人になって初めてのデートが公民館にある筋トレルームだとは思わなかった。
毎週のカフェ巡りによって、特に私の体重変化が著しくなってきたことを彼に話したことが発端だ。
「はあ〜久しぶりに筋トレをしたら、こんなにも体力が落ちているなんて…バレー部だった時はスパイクをビシバシ決めて、相手チームに恐れられていたのに…」と私は独り言をこぼした。
「田中さん、バレーボールやってたんですか⁉︎きっとかっこいい選手だったんだろうな〜」
「もう、昔の話よ…熊田はスポーツ何かやってたの?」
「空手をやっていました。今もたまに先生からお呼びがあって、子供達の指導を行なっていますよ」
〔胡桃の心の中〕(すごい…空手やってたんだ…)
胡桃の脳裏に黒帯を締めて闘う熊田の勇姿が浮かんだ。
「かっこいい…」
「田中さん?ボーとして、大丈夫ですか?」
「はっ大丈夫!」
「ところで、田中さん、良かったら今度私の家で…」
私はその言葉にドキッとした…
「お菓子作りしませんか?」
私は心の中でズコーっとこけた。
「どうしてもティラミスを作ってみたいんです!」
「ティラミス⁉︎私も作ってみたい!だけど、私料理の才能まるっきりないのよね…」
「大丈夫ですよ。楽しみながら一緒に作りましょう♪あ、そうだ!ティラミスを作る前に、コーヒー専門店に行ってコーヒー豆を買いに行きましょう。」
「なんだか難しいかもしれないけど、熊田がいたら、安心ね!」
私たちは筋トレルームを後にした。二人の影が夕陽に照らされ、長く伸びていた。
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