第10話 くま?それともリス?
〜当日〜
私は少し早めの時間に着き、彼を待っていると…
「お待たせしました。すいません!少し遅れました…」
彼の方を向くと、質の良いすっきりとした白いシャツ、すらりとした黒のスリムパンツ、広い肩幅を軽い素材のジャケットで包み、まるでモデルのようにスタイルの良さを際立たせている。
今、ホテルパレスではりんごのフェアをやっており、りんごのスイーツが目白押しだ。
「わぁ‼︎どれも美味しそうすぎる!どれから食べよう…」
「ど…どうしよう!目移りしてしまって、選べません!」
私は、アップルパイ、りんごのミルフィーユ、りんごのムース、りんごのドームケーキを選んだ。
そして彼は、りんごとレーズンのマフィン、キャラメルりんごのパンナコッタ、りんごのシュークリーム、小さなりんごのタルトタタンをとっていた。
「いただきます!はあわ〜!うまっ!上品な甘さとりんごの酸味がほのかで、いくつでも食べれそう。絶品ね!」
私はサクサクしたパイ生地にクリームが何層にも重なったミルフィーユを食べ、口を押さえながら、美味しさのあまりニヤけていた。
「美味しいです〜!こんなにも美味しいものが世の中にあったとは〜!」
彼はりんごのシュークリームを口いっぱいに頬張り、美味しそうにたっぷりと食べ、まるでリスのように頬がパンパンになっていた。
アフターヌーンティーという楽しい時間もあっという間に過ぎていき、私はずっと彼に聞きたかったことを口にした。
「熊田…私ずっと聞きたかったことがあって…」
「え?なんでしょう?」
「どうして私と一緒にカフェ巡りしてくれるの?こういうのって恋人とかとするものじゃないかな…?」
「……田中さん…私、……田中さんのことが好きなんです…」
熊田は、俯いていたが、意を決したように顔をあげた。
「田中さん!私と付き合ってもらえないでしょうか?これからも田中さんと一緒にカフェ巡りしたいんです!私は田中さんの見た目だけではなく、仕事に真摯に取り組む姿も、スイーツを食べる時、可愛い顔をなさる所もとても癒されるんです!こんな私ですが、どうかお願いします‼︎」
私はりんごのように頬が赤らんでいくのを感じた。
「ありがとう…私は…」
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