第9話 柴犬

駅を出て、少し歩くとコンクリートの打ちっぱなしの外観が特徴的なお店がみえてきた。


入り口には緑の暖簾が下がっており、お店のマークとして可愛らしい柴犬のイラストがかかれている。 


中に入ると、鶯色のふかふかとしたソファとオリーブ色のテーブルでとてもシックな組み合わせだ。


ここのおすすめはなんと言っても和のスイーツメニューが豊富なところだ!

迷った末に私はほうじ茶あんみつを、そして彼は抹茶プリンパフェを頼んだ。


パフェが来るまでの間、熊田はこのお店の看板犬、柴犬のきなこちゃんと楽しそうに戯れている。


薄茶の小柄なボディに、クルンと巻いた尻尾と、眉毛のような白い模様がチャームポイントだ。


〔胡桃の心の中〕(か、可愛い!はじめはきなこちゃん、熊田のこと怖がってたけど優しく撫でてくれるから、安心してお腹を見せてる〜)


「田中さんはきなこちゃん、触らないんですか?可愛いですよ♪」


「触りたいけど、私動物と相性悪いから…」


彼は立ち上がり、私の手をとりきなこちゃんのお腹にそっと触れた。


「ほら、大丈夫ですよ。きなこちゃんも喜んでます♪」


〔胡桃の心の中〕(キューン!!!!!二人とも天使なの⁉︎)


「あ、ありがとう…」


「お待たせしました〜ほうじ茶あんみつと抹茶プリンパフェです〜」


「いただきます。美味しい〜黒蜜のこってりした甘さに抹茶ソフトクリームが苦味を添えて、パクパク食べられる〜」


「うーん!滑らかな抹茶プリンとふわふわなカステラ、ねっとりとした抹茶わらび餅…最高の組み合わせです♪」


「それにしても、最近カフェ巡りばかりしているから、体重が増えそうで怖いなあ。でも美味しいから仕方ないのよね…」


「確かに…私も最近甘いものをよく食べるので、健康面的にだいぶ不安かも…ジムにでも行こうかな…」


              〜帰り道〜


「美味しかった〜きなこちゃんも可愛かったし、あんみつも最高だったな〜」


「そうですね。また行きたいです!……あの、田中さん…」


彼は立ち止まった。


「?どうした?」


「来週の土曜日、パレスのアフターヌーンティーに行きませんか?」


「ええ⁉︎あの有名なホテルパレスの⁉︎ でも、予約取りにくいんじゃない?それに結構高いんじゃ…」


「ふふっ昨日予約は取れましたよ。それに今回は私の奢りです。これまでずっと私

のわがままに付き合ってもらってますし…」


「いやいや!流石に後輩に奢らせるのは心が痛いよ⁉︎」


「とにかく!そういうことなので土曜日よろしくお願いしますね♪」


彼はふんふんと楽しそうに歩き出した。


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