第8話 手作り

翌日の残業時間にて…


「田中さん、お疲れ様です!私に出来ることがあれば言ってください」


「じゃあ、この資料もう一度見直してほしい。あと、ここの付箋のページにマーカーつけといたから……」


              〜二時間後〜

「熊田、お疲れさん。おかげですごくいい資料に仕上がったよ。それにしても、少しお腹空いたな…」


「あの、田中さん!もし良かったらこれ一緒に食べませんか?実は手作りなんです!」


袋を開けると、ザラメのついたラスクが入っていた。


「えっ!作れるの⁉︎」


「はい…カフェになかなか入れなかったので……その、自分で作ろうと思ったんです。だんだん楽しくなってきて…お菓子作りは趣味になりました」


彼はしどろもどろになりながらも、一生懸命私に伝えていた。


「ありがとう。いただくよ」

               カリッ


「美味しい!砂糖とバターがしっかり染み込んでて、香ばしいかおりとサクサク感がとてもいい」


〔胡桃の心の中〕(美味しすぎる〜熊田、天才!はっいかん、いかんまたにやけてしまう…)


彼はぱあっと表情が明るくなり、愛おしげにその様子を見つめていた。


「ありがとうございます♪とても嬉しいです!」


「お菓子作れるのね…すごい…私は一度も作ったことない…」


「もし良かったら、今度一緒に作りませんか?あ、それと今度のお休み抹茶のスイーツカフェに行きませんか?」


「抹茶カフェ⁉︎うん!行きたい!」


「じゃあ、決まりですね」


美味しい抹茶カフェに思いを馳せ、私の心は弾んだ。

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