第7話 海の見えるカフェ

 今週の仕事を終えて、やっとくつろげる土曜日になった。

ピコンッとスマホの通知音がなった。


『田中さん、明日、この前話した美味しいチョコフォンデュのあるカフェに一緒に行きませんか?海の近くで絶景だそうですよ』


『うん、行こう。お店の前で合流ね。』とそっけなく一言だけ送ったが、内心めちゃくちゃ楽しみにしていた。


              〜翌日〜

彼は、爽やかな空色のリネンシャツに、涼しげなグレーのパンツ…


彼の長身を引き立てていて、とても夏らしい。


「お待たせ!」


「私も今来たところです。田中さんの洋服、とても似合っていますよ」


私は、ミントグリーンの長め丈のラップタイトスカートにラッフル袖の白いブラウス。

実はどちらも先日買ったばかりの初お披露目だ。


「あ、ありがとう…」

〔胡桃の心の中〕(くっ…熊田かっこいい…平常心よ…私…)


 開放的なテラス席から見える美しい空と海が遠くまで広がっている。

ワクワクしながら店内に入った。大きな窓からも空と海が一望でき、様々な種類のドライフラワーが天井から吊るされていて、大人っぽくカジュアルな雰囲気だ。


ついに二人分のプレートがきた。


透かし彫りの白い陶器にたっぷりと入ったほろ苦いチョコレート、一口大の季節のフルーツの盛り合わせが色とりどりだ。


「うーん、美味しい〜!あったかいチョコフォンデュに甘酸っぱいいちごが絡んでおいしすぎる〜!」


「田中さん、マシュマロにもとっても合いますよ!チョコに包まれたマシュマロが口の中でシュワッとなくなっていくんです♪」


「ふふっ、熊田、口元、口元」

「えっ?あっ…しっ失礼しました!」

彼は慌てて、口元のチョコを少し照れながら拭った。


ゆったりとした時間を二人で楽しみ、帰り際テラス席の方に行くと地平線の先に真っ赤な大きな夕陽が沈もうとしている。

心地よい海風が二人を包み、夏の終わりを告げているようだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る