抜けるような、あお。

雲霓藍梨

抜けるような、あお。

 青い。蒼い。碧い。


 青い空の下。

 蒼い水辺に、碧い瞳の君がたたずむ。


「——気持ちいいね、×××」


 煌めく金髪が、アオの背景に映えて見えた。


「やっぱり海に来て正解だったよ」


 パシャン。

 海水に浸したサンダルが、波を蹴る。


「夏だなぁ…って感じ」


 にっこり振り向いて言った君の顔を、もう覚えていない。


「来年も一緒に来れると良いね、×××」


 僕の名前を呼ぶ君の声も、おぼろげで。


 抜けるような“あお”が、美しかった事だけ覚えている。

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抜けるような、あお。 雲霓藍梨 @ungei

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