おばさまたち

 Fさんは「母の除霊」のRさんと同じ、バイト先で知り合った友だちです。

 最近はたかが外れたようにオタクをしています。一緒に横浜で占ってもらったことがあるのですが、占い師のおばちゃん曰く、「あなたは行きたいところに行くし、やりたいことをやるし、会いたい人には会う。家に収まる器じゃない。それを許してくれる人じゃないと一緒に生きていくのは無理」とのこと。年々占い通りになってきました。なんならこの占いを免罪符にして好き勝手やってる節もあります。


 そんなFさん、群を抜いて霊感がありません。霊感はないし不思議な体験もないし、そういうものを一切寄せ付けない。計十数名に話を聞きましたが、その中でもダントツでそういった怪談とは縁がないんです。ですが、仲が良いのでお情けで話を提供してくれました。


「池袋の改札で向かいから歩いてきたおばさまに突然『死ねぇ‼️』と叫ばれながら両乳を握りつぶされた」


 人怖というジャンルがありますが、そこに括ってよいものか。悩んでしまうようなエピソードですが、そんなエピソードも貴重だったので、早速電話をしました。

 話を聞いてみてもDMをくれた通りでした。ほんの少し小汚いかなと思う程度の普通のおばさんにいきなり言われたということです。今まで聞いた話の中で唯一危害を加えられており、事件性で言えばトップクラスの話です。


 このまま聞いていくと事情聴取のようになってしまうので、ご家族やご実家に関する質問をしてみました。「近所にムーを定期購読しているおばさんがいて、その人は霊感あるって言ってたな」ということ。ムーって定期購読できるんだ…。

 そのおばさんは、「あのアパートの階段の踊り場に落武者が座っているよ」とFさんに教えてくれました。その落武者は、ムー定期購読おばさんには自身の姿が見えていることをわかっているようで、「こっちを見つめてくるし、よく話しかけてくる」ということ。想像するとギャグ漫画みたいな風景しか思い浮かびません。


 またFさんのお母さんは小人を見たことがあるそうです。

 「『最初に住んでいたマンションで、原辰徳のユニフォームをきた小人が、リビングでくつろいでいて、目があったら逃げていった』って言ってて、流石に嘘かと思ったけど、真剣に話すから本当に見たのかなーって。」


 巨人のユニフォームを着た小人…。持ちネタとしては最高に面白いので、早速友だちに披露するとまあまあウケる。皆さんも飲み会などで披露してみてはいかがでしょうか?

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