歌声

昼下がりの誰もいない静まり返った我が家に、

微かな音が漏れ聞こえている。

音のする方へ、音のする方へと足を運んで見ると、西の窓の外が気になりはじめ、そっと窓を開けて、外に目をやる。

誰もいない。



「カァナァリィアがぁ」

女性が歌を歌って居るように聞こえているにも関わらず、そこには、人の気配すらある訳ではなく、木が生い茂っていて、

日差しが暖かく、なんとも言えない心地の良い空間だった。

人っ子一人いない空間で、誰かが歌を歌っている。

歌声のする方へ、する方へと視線をやると、

青々とした生まれたばかりの葉が、意気揚々と初夏の風を通していた。

まるで木から歌声がするようにも思え、

「まさか。。。」と、また視線を声がする方へと移し見ていく。一瞬、ハッとし。

木の葉の間から目に映る、鳥の姿に目が留まる。

「カァ~ナァ~リィ~ア~が~」

声の主は、その女性とも、男性とも、性別の付かぬ鳥だった。

興味の無いものには、知らぬ存ぜぬ。

性別どころか、鳥の名すらも私には、思いつかない。

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