第6話 勉強会


十分な広さとまではいかないが、とりあえず村の人たちが寝ることができる家を作ることができた。


「必要な家の数が少なくてよかった」

「狭くなっちゃったけどね」

「それではガイさん、勉強会を始めていただいても?」

「わかった、と言っても俺もこの世界のことに特別詳しいわけではないんだけどね」

「よろしくお願いします先生」


「…。まずこの村、クラディオンは大陸の北部に位置しています。中央にはリテライト王国があり、この王国が大陸を支配しています。戦争などがあったわけではなく、元々あった4つの王国が同盟を組み、中央に新たな国家を作ったという感じらしいです」

「ガイ先生!この世界は時期によって気候や温度は変わりますか?」

「変わるよ。今は7の月で暑い時期と寒い時期の間かな」


元の世界とは少しズレているのか。


「なるほどです。じゃあ、モヤモヤマヨーツ帝国について教えてください。国を滅亡させようとしていることしか知らなくて」

「うん、実は俺も知らないよ」

「……え?」

「あ、でも、南西の方から攻めてきているってことは以前この村に訪れていた商人が言ってたね」

「世界的にみんな知らない感じですか?」

「この村が近くの街から離れているっていうのがあるかな。年に数回ぐらいしか情報を手に入れる術がないからね」

「どれぐらい離れて?」

「馬車を使えば3日ほどで、頑張って走れば2日ほどかな」

「走った方が速いんですね」

「街との間に大きな湖や魔物の巣があって迂回しないといけないからなんだ」


この世界の人は走る速さが化け物かと思ったよ。


「魔物のことも考えないといけないのか。でも、護衛を雇えば通れるのでは?」

「わざわざ魔物の近くを通る道は作らないからね、お金もかかるし」


「もちろん俺たちは走るよね?みそだれさん?」

「ば、馬車に乗りたいかなー…」

「よし、走るに決定だな」

「は、はい」


魔力のこういった使い方もあるんだ…

ガイさんは自分を飴と鞭みたいな感じで使い分ける人なのかな。一緒にいて飽きなさそう。


「あ、安心してくれていいよ」

「よかった、本当は馬車で行くんですね」

「いや、湖の上に足場を作るから1日程で着くよって」

「…」


「それじゃあ、今日はこのくらいで寝る時間かな」

「あ、ガイさん、一つ相談が」

「どうぞ」

「この村を出るまで特訓してくれませんか?」

「んー、みそだれさんの戦い方なら俺じゃなくてお父さんの方が教えられると思うから聞いてみるよ」

「ありがとうございます」


「それではおやすみだす〜」

「だす〜」

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