第3話 固まる決意


今日も川下へ歩いていると、遠くの方にポツポツと煙が上がっているのが見えた。


「お!ついに人に会える!どんな人たちが住んでるんだろう」


みそだれはうきうきしながら煙の方へ走り出した。


「よし、結構近くまで来たぞ。しかし、煙の量が多くなってるような気がするんだよな」

 

さらに煙の方向へ走ったみそだれの目に映ったのはいくつかの家が燃え、戦いが起こっている小さな村だった。


「まさか、モヤモヤマヨーツ帝国が村を襲っているのか」


村を襲っている集団のボスであると思われる炎を纏っている人と戦っている一人の男を見つけた。


「あれは…鉄か?何もないところから鉄のようなものを出して戦っているのか。そして、女神が言っていた直感で気づくとはこういうことか。あれが俺と同じで女神に力を与えられた4人のうちの一人だな」


考えるよりも早く体が動いた。


「助太刀します!」

「あなたは…いや、今はいいか。助太刀感謝します。俺はガイ。俺の魔法と炎の相性があまりよくなく困っているところでした」

「私はみそだれです」

「見たところ剣を使うようだが魔力を纏うことはできるか?」

「はい、できます」

「俺も魔力を纏うことができたら戦いやすいのですが、このように魔力で姿を見えなくすることしかできできず…」

「戦いの途中に話している暇があるのか!舐めやがって!『煉獄石』!」


炎を纏った男が魔法を放つと、空からいくつかの燃えている石が降ってきた。


「まだまだ!『噴火ボルカニック』!!」


男がいるところからこちらに向かって地面が膨れ上がり、


「みそだれさん横に避けろ!」


横に避けた途端、先ほどまで私が立っていたところに火の柱が出来ていた。


「空からも来るぞ!」


私はなんとか避けることに成功し…


「『火炎のファイアー一撃ブロー』おらぁぁぁ!」


石でできた死角から周りの石を溶かすほどの炎を纏った拳が現れた。


まずい…避けられない


「『剛盾シールド』!」


鉄でできた盾はすぐに溶け出したが、その隙にみそだれは男の拳に向けて上から刀を振り下ろす。が、みそだれは大きく後ろに弾かれてしまった。


「みそだれさん、技名は付けないんですか?

知っていると思いますが、技名をつけると魔力が大幅に強化されてより強い攻撃をすることができますよ」

「え、そうなの?私この世界に来てまだ3日なんですよ。女神のミスで連れて来られちゃって」

「やはり俺と同じで女神様から力を与えられた人でしたか。戦いの中技名を考えるのは難しいかもしれませんが、付けてみてください」

「分かりました」


「『煉獄石・統』!」


空からこの村と同じぐらいの大きさをした燃えている石が降って来た。


「なっ…逃げるには間に合わない!みそだれそん俺はなんとかしてこれを受け止める!みそだれさんはその男を倒してくれ!倒せばこの石は消えるはずだ!『剛盾シールド・重』!」


頭上に1枚が大人の身長ほどの厚さをした鉄の盾が3枚現れた。


「一撃で倒す!」

「倒してみろ!『噴火ボルカニック』!」


足に魔力を溜め、踏み切り、男の技が発動するよりも早く男の目の前に移動、すぐに刀に魔力を溜め、渾身の力で刀を振り切る。


「『斬月』!!」



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