第10話 女性器の浄化と「女」への変貌

琴音の身体は熱に支配され、完全に慧の支配下にあることを無意識に受け入れていた。ブラジャーの上から乳房を揉まれる刺激は、琴音の身体の奥底から尽きることのない快感を呼び起こし、慧の指がショーツ越しに鼠径部を撫でると、琴音の個の意識はまるで水に溶ける砂糖のように希薄になっていく。もはや、抗う力はどこにもない。


慧は、琴音のショーツのゴムに触れていた指を、そのままゆっくりと股間へと滑らせた。薄い布地越しに、彼の指先が琴音の女性器に触れる。デリケートな部分に触れられる刺激に、琴音の全身が震える。そこからじんわりと熱が広がり、琴音の身体中を駆け巡る。


そして、慧は枕元の卓から、徳利と杯に目をやった。徳利に残された神酒を、もう一度杯に注ぐ。琥珀色の液体は、薄暗い部屋のわずかな光を吸い込み、妖しく輝いていた。


慧は、その杯を琴音の股間に傾けた。ひやりとした神酒が、琴音の女性器に注がれる。肌に触れた途端、冷たい感覚が広がった。しかし、その直後、内側から燃え上がるような灼熱が、琴音の身体を襲いかかる。膣の奥から、子宮のあたりまで、全身の神経がその一点に集中し、激しい快感の炎が燃え上がった。


「っ、あ……ぁあ……!」


琴音の口から、もはや人間の言葉とは思えない、官能的な声が漏れ出した。頭の中は、完全に真っ白になっていく。思考は機能せず、残されたのはただ、身体を貫く快感だけだった。


自分は水瀬琴音ではない。過去の記憶も、名前も、家族も、友人との思い出も、すべてが意識から消え去っていた。ただ「女」であるという、純粋で根源的な認識だけが残される。この身体は、快感を受け入れ、与えるために存在している。琴音の存在は、性的な機能を持つ「女性」へと、完全に変貌していく。


神酒による浄化。琴音の古い自我は、この燃え上がるような快感の中で、完全に洗い流されていく。抗う術は、もはや琴音にはない。ただ、身体の奥深くで燃え盛る快感の炎に身を任せ、人であることを超えた、純粋な「女」として、目の前の男に全てを委ねるしかなかった。

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