第3章 抗えぬ本能

第9話 ショーツ越しの刺激と自己の希薄化

ブラウスが完全に脱がされ、琴音の身体に残るのは、白いレースのブラジャーとショーツだけになった。Cカップの柔らかな膨らみが、薄い布地越しに露わになる。慧は、琴音の身体をゆっくりと布団の上に寝かせた。柔らかな布団が背中に触れ、琴音の身体は、完全に無防備な状態となる。


慧の掌が、ブラジャーのカップの上で優しく、そして確実に乳房を揉み始める。ブラジャーの薄い布地越しに伝わる慧の掌の熱が、琴音の乳房にじんわりと染み渡り、乳腺が刺激されるたびに、琴音の身体の奥底から、ゾクゾクとした電流のような快感が走り抜けた。それは、今まで感じたことのない、甘く、痺れるような感覚だった。身体の中心に、熱い液体が灯るように、官能の灯がともっていくのを感じる。羞恥心は、もうほとんど残っておらず、ただその熱に吸い寄せられるかのように、琴音の身体は彼の掌に委ねられていく。


琴音の意識は、ただ目の前の快感と、一条慧の存在に集中していく。過去の記憶も、悠真の面影も、琴音の意識には存在しない。慧が、琴音の新しい世界の唯一の構成要素となる。


慧の掌が、ゆっくりと琴音の腰へと滑り、ショーツのゴムに触れた。薄い布地の感触が、琴音の敏感な肌に直接伝わる。そして、彼の指が、ショーツの上から琴音の鼠径部へと触れた。


「……っ」


デリケートな部分に触れられる刺激に、琴音の全身が震える。ショーツの薄い布地越しに、そこからじんわりと熱が広がる。内側から湧き上がるような、得体の知れない快感が、琴音の身体中を駆け巡る。思考はもうほとんど機能せず、ただ快感と、一条慧の存在だけが、琴音の意識を埋め尽くす。


自分という個の意識が、まるで水に溶ける砂糖のように、だんだんと希薄になっていくのを感じる。琴音はもはや、自分自身の明確な輪郭を持たない。抗う力は完全に失われ、身体が本能に引きずられていく。もはや、彼を止める術は琴音にはなく、ただ、彼のなすがままになるしかなかった。身体は熱に支配され、完全に彼の支配下にあることを、琴音は無意識に受け入れていた。

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