第3話


煙草は身体によくないし、未成年なら尚更吸うべきじゃないと言ったのは確かに私だ。

だから、その言葉でマコが煙草を吸わずに保健室に来てくれるようになったのは素直に嬉しい。

嬉しいが……


「マコ、私は保健室に入り浸れとは言ってないんだけど……単位とか大丈夫?」


休憩中に入り浸る分には全く構わないけど、姿を現すのはほとんどが授業中。

出席率だけはどうあっても誤魔化しがきかないだけに心配になる。


「大丈夫、俺にもそれなりに伝手ってのがあるから」


そういいながら、他に生徒がいないことを確認したマコはベッドに寝転び携帯を触り始める。


「そんなことより女子の生態について聞きたいんだけど、振られた女子ってなんで皆泣くわけ?」

「は?」

「いや、さっき後輩に告白されて振ったら泣かれたから」

「なにそれ自慢……?」

「いや、悩み。俺振るたびに絶対泣かれるんだけど」

「嫌な予感しかしないけど聞くわ。なんて言ったら泣くの」


寝転んでいたかと思いきや体勢に納得がいかなかったのかベッドの上で胡坐をかくマコに「まさかな」と一抹の不安を抱き尋ねる。


「『あんた誰、知らない奴と付き合うとか無理だから』」

「いや、そりゃ泣くわ」

「知らねーもんは知らねぇ」


女って面倒臭ぇなー、とため息を吐きながらまたベッドに寝転ぶ。

モテる男は大変だ、と笑うと「真紀には分かんねぇ辛さだろうな」と返されたからとりあえず頭を預けていた枕を引き抜いてやった。

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