第5章 第2話「侵攻準備」


焼津・第1整備区画。ZAIN‐01を中心に4機のACが整備ドックに並ぶ中、技術班のホログラムが宙に展開される。


「本日から全ACに新型武装が正式実装される。GNドライヴと連携した構造になっているが、TRANS-AMの起動は実戦時のみとする」


赤沼梓が前置きした瞬間、裕太が「あ~、使ってみたかったのになあ」と声を漏らした。


「GN粒子の出力制御はまだ不安定。トランザム中はパイロットの脳波にも微弱な干渉が起きるの。軽い目眩や幻視が出た例もあるわ。模擬戦で使うのは、ナシ」


「……まあ、それだけ凄いってことだな」総士が腕を組んでうなずいた。



赤沼が順に指を動かし、各機体のホログラムを表示する。


🔹ZAIN‐01(髙野佑真)


「まず佑真のZAIN‐01。新主兵装は**『ZNソードII』**。以前の実体剣を改良した強化型よ。

ブレード材質は多層複合チタンに粒子強化を加えてあるから、装甲貫通力は前の約1.7倍。切れ味も段違い」


「おまけに、背部マウントにビームサーベルを追加。瞬時の抜刀が可能で、二刀流も実現できるわ」


佑真は「これは……速攻で切り込んで沈める用だな」と真剣な顔で呟いた。


🔹NOESIS‐02(池谷総士)


「次は総士のNOESIS‐02。新装備は**『ファンネル・ユニット』**。

両肩から1基ずつ展開し、脳波制御で遠隔攻撃できる。ビーム射出時は敵のブレードも回避不能よ」


「脳波リンクって……俺の脳が狙われるとか、ないよな?」と綾杜が茶化すと、

総士は「やめろ、それフラグだろ」と苦笑い。


「ちなみに、ファンネルはGN粒子で浮遊するからエネルギー消費は少なめ。でもトランザム中は加速が狂うから注意して」


🔹VELTINE‐03(新川綾杜)


「狙撃手の綾杜には、新弾薬**『阻害弾』**を支給。命中すれば、敵機体の機能が一時的に低下するわ。

出力、視界、反応速度、ぜんぶガタつく」


「弱体化させたところを、一撃で仕留めろってわけか」綾杜は静かにライフルを見上げる。


🔹SYLPHID‐04(大橋裕太)


「最後は裕太のSYLPHID‐04。さらに重量化を進めて、高反動キャノンを搭載。

今の装甲なら、キャノン・バズーカを同時発射しても耐えられるわ」


「やっと俺にも“正面からぶち抜く”戦い方ができるってわけだな」


裕太は嬉しそうに笑い、キャノン砲のスリーブに手を乗せる。



「以上。GNドライヴの起動は、あくまで**“最終局面での切り札”**。頼りすぎるな」


赤沼の一言に、全員が黙ってうなずいた。


戦いの準備は整った。

次なる敵は――アメリカ正規軍。

圧倒的な物量と電子戦技術を誇る国家との本格衝突が、いよいよ始まろうとしていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る