第3章 第9話「黒き巨影」
雪の吹き荒れる戦場に、その機影は静かに降り立った。
他のACとは明らかに異なる構造。
腕部は長く、肩のスラスターは常時青白い炎を吹き出している。
機体コード【RAHVAN‐Z3】。
ロシアが極秘開発した実験型AC、
「……ヤバいな、あれ」
裕太がゴクリと唾をのんだ。
「機体情報が……読み取れない」
総士のNOESIS‐02でも、AI解析が追いつかない。
装甲構成、出力、熱量……全てが“常識外”。
《RAVHAN、前進開始》
敵軍通信の断片と共に、機体が動いた。
瞬間――消えた。
「ッ! ――綾杜、右!」
総士の警告と同時に、VELTINE‐03の装甲が一閃された。
鈍い衝撃と共に、後方へ吹き飛ぶ。
「くそっ、早すぎる……!」
綾杜が立て直す間もなく、SYLPHID‐04もミサイルを撃つ暇なく側面を粉砕された。
「綾杜!? 裕太!!」
その姿を見た佑真が、叫びながら【ZAIN‐01】を突っ込ませる。
「この野郎――!」
右手の《ZNソード》が振るわれる。
だが、RAHVANは一瞬で軌道を逸らし、ZAINの腕を蹴り上げた。
空中に浮いたその隙に、背部からのレーザーが佑真を直撃する。
「ぐっ……!」
警報音と共に、ZAIN‐01の装甲が焦げる。
《ZAIN‐01、損傷率43%。左腕部機能、制限》
警告が響く中、佑真は歯を食いしばって立ち上がった。
「……ふざけんな。ここで倒れたら、またみんなを……!」
そのとき、NOESIS‐02がZAINの側に滑り込んだ。
「佑真、今は無理に仕掛けるな。俺が隙を作る」
総士の声は静かで、しかし決意に満ちていた。
「お前が倒れたら、本当に終わる」
その言葉に、佑真は黙って頷いた。
残されたのは、【ZAIN‐01】と【NOESIS‐02】の2機のみ。
スレッドゼロの生き残りが、怪物に挑む。
「相手が何であれ……仲間を切り捨てて進むなんて、俺たちのやり方じゃない!」
佑真が叫ぶ。
「撃ち抜くぞ――総士!」
「行け、佑真!」
雪を裂き、最後の突撃が始まった――
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