第3章 第4話「仲裁の名のもとに」


ジャングルの奥深く。

4機のACが静かに陣を張る。


「俺たち、ここで何やってんだろうな……」

裕太が呟く。


「“仲裁”だろ? つまり、敵も味方も殺さずに抑えろってこと」

綾杜が肩越しに答えた。


「でも、本当にできるのか?」

佑真が視線を落とす。


「できるかどうかはわからない。でも、やらなきゃ終わらない」

総士が低く言った。



その夜、キャンプファイヤーの灯りの下。

基地から送られてきた通信機器が、細かいノイズを出しながら作動している。


「両陣営から同時に“停戦協定”の連絡が来た」

静馬の声が無線から届く。


「だが、どちらもこちらに不信感を隠していない。協力は名目だけだ」


「じゃあ……俺たちは利用されてるだけじゃないか」

佑真が拳を握り締める。


「そうかもしれない。でも、無力に立ち尽くすわけにはいかない」

綾杜が言葉を継いだ。



翌日。


フィリピン軍と黒海連合の間で、緊張した停戦会談が始まる。


スレッドゼロはその場に同行し、両者の監視を行うことになった。


「こっちが折れなければ、戦闘は続く」

総士が言った。


「俺たちは“誰の味方でもない”という立場でいなければならない」

佑真も続けた。


だが、会談は決裂寸前で、双方の銃口は互いに向けられたままだ。


「これが……現実だ」


スレッドゼロのメンバーは、それでも動かなければならなかった。



夕暮れ。


焼津基地に戻る通信機。


「今回の“仲裁”任務は、表面上は成功といえる。だが、根本的な問題は何も解決していない」


静馬は眉をひそめた。


「戦争は、単純な勝ち負けではない。複雑な利害が絡み合っている限り、俺たちの戦いも終わらない」


「……それでも、俺たちは進む」

佑真が静かに誓う。


闇の中に光を見出すために。

戦いは続く。



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