第3章 第3話「東南の境界」
焼津基地。出撃前のブリーフィングルーム。
大型スクリーンに映るのは、フィリピン・ミンダナオ島南部の紛争地帯。
「この地域では、中国系民間軍事組織“黒海連合”とフィリピン政府軍が資源の採掘権を巡り衝突している」
諏訪部静馬が淡々と説明する。
「今回の任務は、両勢力の武力衝突の沈静化および現地住民の保護だ。表向きは“仲裁”という形だが、緊張感は高い」
「敵はかなり警戒している。こちらの動きを注視し、先制攻撃もあり得る」
池谷総士が厳しい声で告げる。
「ZAIN‐01の装備も調整済み。佑真、お前の役割は撹乱と抑制だ」
「わかってる。無理はしない」
佑真は冷静に答えた。
*
ミンダナオ島南部、ジャングルの入り口付近。
4機のACが緊迫した空気の中で進む。
「蒸し暑いな……体力消耗しそう」
大橋裕太が汗を拭う。
「湿度が高い。電子機器にノイズも出やすい。気を抜くな」
新川綾杜が前方を見据える。
「通信だ、敵のPMC“黒海連合”から接触要求だ」
モニターに敵の映像が映る。粗末だが威圧的な装甲のACが映し出された。
《こちら黒海連合。お前たちは日本から来た“無法者”か。進軍を直ちに中止せよ》
「無法者……か」
総士が呟く。
《この地は我々の縄張りだ。立ち入るなら戦火は避けられん》
「ここが、戦場の“東南の境界”か」
「戦争は終わらない。俺たちはその中で何ができるのか」
4機は構えを取り、静かに戦闘準備を整えた。
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