第2章 第9話「再起動」



「――撃破確認。1体、消えた!」


煙の向こうで、装甲が崩れ落ちる。

3機のACがかろうじて勝ち取った1機の撃破。


「あと2体……いけるぞ、このまま押し切る!」


裕太の声が高まる。


その時だった。


「ッ……待て!」


総士が叫ぶよりも早く、敵ACの装甲が“弾けた”。


「な……何が起きてる!?」


装甲が四方へ飛び散り、内部からまったく異なるシルエットのACが出現する。

細身の機体、鋭い輪郭、冷却蒸気を噴き上げながら――動いた。


《形態変化確認。コードネーム:オーバーロード・ヴェルナー》


「重装から機動特化に――あれが、真の“オーバーロード”……!」


それは“要塞”から“暗殺者”へと変貌した。


次の瞬間。


「う、うそだろ……!?」


一条の残像とともにSYLPHID‐04の胴体が爆発。裕太の叫びが通信越しに響く。


「ご、ごめん……機体が……制御が……!」


直後、綾杜のVELTINE‐03にも異変が走る。


「速い……! 追いつけ――ッ」


綾杜の機体が頭部ユニットごと切り裂かれ、崩れた。


「綾人! 裕太!!」


佑真が叫ぶ。


残されたのは、ZAIN‐01とNOESIS‐02のみ。


「佑真、俺たちでやるぞ」


総士の声に、佑真は頷いた。


「やるしか、ないな」


ブースター点火。

白と黒の機体が、蒼空へと舞い上がる。


「行こう、総士!」


「ああ――こいつを止めるのは、俺たちしかいない!」


最終局面。戦場が再起動する。



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