第2章 第8話「突破口」



爆煙。爆発。地を這うような衝撃が、次々と演習地を揺らした。


「ブーストダウン! 再起動が間に合わない!」

裕太のSYLPHID‐04が、左肩を損傷し後退。


「前に出られない……このままじゃ潰される!」

綾杜のVELTINE‐03も銃身がオーバーヒート。遠距離支援の手が止まった。


唯一まともに動く総士のNOESIS‐02も、多数の小型無人ドローンと重装AC《オーバーロード》2機の集中砲火を浴び、完全に包囲されていた。


「っ……ちくしょう!」


砲火の隙間を縫って、NOESISが回避行動に入る。


そのときだった。


――ズドンッ!!


空から、白い光が突き刺さるように現れた。


「な、に……?」


総士の視界に、見慣れたシルエットが飛び込む。


白い装甲に、黄色の差し色。高速ブースターの残光が雪原を焼く。


ZAIN‐01。


「あり得ない……あいつは、動けないはず……!」


ブースター全開。ZAINは縦横無尽に戦場を駆け、敵の視界と戦術を撹乱する。


「全機、警戒! 追加目標確認!」

敵軍の通信が混乱を起こし、砲撃が散らばる。


その中でZAINの両腕が変形し、左右のマウントから二丁の小型拳銃が展開された。


《TYPE‐SKRピストル:高速連射特化カスタム》

ブレードではなく、新たな武装――


「さぁて……撃ちまくるぞ!」


コックピットの中。佑真の額には汗が滲み、包帯が見える。


「佑真ッ!! 何やってんだお前はッ!」


「遅れてごめん、総士。でも……俺が行かなきゃって思った」


ZAINが敵機の側面に滑り込み、超高速で銃弾を浴びせる。

その動きは、まさに白い疾風。


敵のドローン部隊が一瞬で破壊され、《オーバーロード》の視界が途絶えた。


「いまだッ! 全機、同時射撃!」


「了解!」

「合わせる!」


3機が一斉に、コア部へ向けてフル出力の火線を集中させる。


轟音。爆発。

《オーバーロード》のうち1機が、崩れ落ちた。


突破口は、開かれた――!



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