第1章 第6話「仲間たち、そして色」
翌朝。
医務室を出た佑真は、静馬に呼び出され、会議室へと向かった。
そこにいたのは、3人の同年代の少年たち。
懐かしくもあり、どこか変わってしまったようでもある――そんな顔ぶれだった。
「紹介しよう。お前の仲間たちだ」
静馬の声が響く。
「池谷総士。スレッドゼロ実働部隊・隊長。万能型AC“NOESIS‐02”のパイロットだ」
「……よう、改めてな、佑真」
総士が笑った。変わらぬ目だった。その眼差しが、佑真の緊張をほぐす。
「大橋裕太。妨害支援型AC“SYLPHID‐04”。陽気で馬鹿だけど、意外と頼りになる」
「おーっす! いや~マジで生きてたのか、佑真!てかZAINってお前だったの!?」
笑いながら背中をバンバン叩いてくるその力強さに、思わず佑真も苦笑した。
「そして――新川綾杜。遠距離精密型AC“VELTINE‐03”のスナイパーだ。クールだが、信頼はできる」
「……無事で、よかったよ。正直、あの日からもう二度と会えないと思ってた」
綾杜の声は低く静かだったが、その目には確かな感情があった。
「今日からは、俺たち4人がスレッドゼロの実戦中核部隊だ。背中は預ける」
その言葉に、佑真は小さくうなずいた。
――家族を失った。でも、ここに“仲間”がいる。
それが今は、何より心強かった。
*
ブリーフィングを終えた後、佑真は格納庫に向かうと、赤沼梓がZAINの前で腕を組んでいた。
「おう、生きて戻ったな。……さて、だ」
「ん?」
「気分転換に、カラーリングでも変えてみるか?」
「……は?」
「戦場に出て、命張って、帰ってきたやつにゃ、ちょっとくらい変化があってもいい。
黒ってのも悪くないが……お前、どうにも内向きそうだしな。明るい色、入れてみねえか?」
整備班がZAIN‐01に新たな外装データを投影していく。
「白をベースにしてみた。軽量機らしく、シャープな印象でな。
あとは差し色に黄色。視認性も上がるし、“再出発”って意味でも悪くねえ」
ホロに映し出されたZAINは、まるで別物だった。
――白銀の装甲。薄い金色が膝や肩に流れ込み、輪郭を際立たせている。
「……いいな、それ。前に進めそうな気がする」
「おう、即決でよろしい。カスタム申請、通しとくわ」
ZAINの外装が、再起動の光を放つ。
新たな色、新たな道。
少年の決意は、今、戦場の色に染まり始めていた。
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