第1章 第6話「仲間たち、そして色」



翌朝。

医務室を出た佑真は、静馬に呼び出され、会議室へと向かった。


そこにいたのは、3人の同年代の少年たち。

懐かしくもあり、どこか変わってしまったようでもある――そんな顔ぶれだった。


「紹介しよう。お前の仲間たちだ」


静馬の声が響く。


「池谷総士。スレッドゼロ実働部隊・隊長。万能型AC“NOESIS‐02”のパイロットだ」


「……よう、改めてな、佑真」

総士が笑った。変わらぬ目だった。その眼差しが、佑真の緊張をほぐす。


「大橋裕太。妨害支援型AC“SYLPHID‐04”。陽気で馬鹿だけど、意外と頼りになる」


「おーっす! いや~マジで生きてたのか、佑真!てかZAINってお前だったの!?」

笑いながら背中をバンバン叩いてくるその力強さに、思わず佑真も苦笑した。


「そして――新川綾杜。遠距離精密型AC“VELTINE‐03”のスナイパーだ。クールだが、信頼はできる」


「……無事で、よかったよ。正直、あの日からもう二度と会えないと思ってた」

綾杜の声は低く静かだったが、その目には確かな感情があった。


「今日からは、俺たち4人がスレッドゼロの実戦中核部隊だ。背中は預ける」


その言葉に、佑真は小さくうなずいた。


――家族を失った。でも、ここに“仲間”がいる。

それが今は、何より心強かった。



ブリーフィングを終えた後、佑真は格納庫に向かうと、赤沼梓がZAINの前で腕を組んでいた。


「おう、生きて戻ったな。……さて、だ」


「ん?」


「気分転換に、カラーリングでも変えてみるか?」


「……は?」


「戦場に出て、命張って、帰ってきたやつにゃ、ちょっとくらい変化があってもいい。

 黒ってのも悪くないが……お前、どうにも内向きそうだしな。明るい色、入れてみねえか?」


整備班がZAIN‐01に新たな外装データを投影していく。


「白をベースにしてみた。軽量機らしく、シャープな印象でな。

 あとは差し色に黄色。視認性も上がるし、“再出発”って意味でも悪くねえ」


ホロに映し出されたZAINは、まるで別物だった。


――白銀の装甲。薄い金色が膝や肩に流れ込み、輪郭を際立たせている。


「……いいな、それ。前に進めそうな気がする」


「おう、即決でよろしい。カスタム申請、通しとくわ」


ZAINの外装が、再起動の光を放つ。


新たな色、新たな道。

少年の決意は、今、戦場の色に染まり始めていた。



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