2話 時風クリニックの奥の院
ここ数日、時風クリニックは平和だった。出張依頼や患者の治療などがなかったからだ。その為、颯汰は相変わらず神社のような建物にしか見えないクリニックの院長室で午前中は事務仕事をしていて昼食を1人で食べた。基本的に時風4兄弟は朝食と夕食は時風家で皆一緒に食べるが昼食は用事で外食するものもいれば外に四男の風樹が作ってくれた弁当を食べる者もいる。そして今日の颯汰も風樹が作ってくれた弁当だ。中身は彩りが豊かで栄養バランスが考えられた弁当だ。そして食べ終えた後、颯汰は院長室の壁にある1つの壁時計の針を弄り出した。そして特定の位置に針を向けると院長室の壁に突如として扉が現れた。そして颯汰はその扉を開けて入ると扉はまるで無かったかのように消えていた。扉の中は廊下になっていてそこには大小様々な時計が飾られていて廊下の奥にはまた扉があったのでその扉を開けるとそこは庭園の様な部屋になっていて様々な季節の花が咲いていた。そして更に奥の部屋には蓮の花が咲いていた庭園になっていた。そしてそこには銀髪の恐らく男性であろう人物が狐の面を被った陰陽師が来ている様な狩衣を纏っていて、そのそばには同じく銀髪の巫女服姿の女性が控えていた。
「どうも《ボス》、そして《秘書》さん相変わらずここは気持ちの良い場所ですね。」
「そう言ってもらえると助かるよ。君はリンクをする為、精神的に消耗しやすい。せめて身体の傷は《私》や《彼女》の力で癒せても心までは癒せない。だからここの空間で癒してくれればと思ってね」
「感謝しますよ《ボス》いえ《お師匠》。それで今日はなんの用事で」
そう颯汰が質問すると巫女服姿の女性が答えた。
「それについては私から申し上げますね。実はビーストの発生の兆候が各地で見受けられました。しかもこれは心の中で具現化することなく現実世界に出現するタイプです。既に政府から依頼が来ていまして各地に出現するビーストを駆除して欲しいと」
「つまり震災やパンデミックの際に起こる人々の負の感情が滲み出て具現化する時と同じことが起ころうとしていると」
「まぁ端的に言ってしまえばそうだ。そして今回は数が多い為、兄弟全員バラバラで駆除にあたってもらいたい。それにあたって風樹の実力はどうだ?充分と判断出来るなら派遣して駆除にあたってもらうし無理なら《彼女》が代わりに派遣される事になるが?」
「正直申し上げますとまだまだ未熟な面はありますが実力は問題ないと普段の修行を見てて思います。恐らくですが実力だけなら科戸や晴嵐の事もそのうち追い抜くでしょうから」
「わかった。ではいつも通りのメンバーを各地に派遣して駆除という形になるがいいな」
「ええ勿論です。では自分はこれで」
「待ちなさい。もう少しここで休んでいきなさい。これからの戦いは過酷になる可能性が高いからね」
そう言って《ボス》と呼ばれている銀髪で狐の面を被った男性がそう言って颯汰を呼び止めそして颯汰は静かに頷き蓮の花が咲き誇る庭園で紅茶を飲みながら休んでいった
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