3話 ビーストパンデミック前夜

その日、時風4兄弟は全員、時風クリニックの会議室に集まっていた。議題は2つあった。先ず1つ目の議題。《ビーストが現実世界に大量に具現化する為の対策》である。

「いきなりで悪いが、早くて明日の午後には日本全国各地にビーストが大量に現実世界に具現化する《ビーストパンデミック》の兆候が観測された。よって政府からの依頼という事もあるが時風家の使命としてもこの事態は看過出来ない!という訳でだ。今回は俺達4兄弟全員が日本全国各地に散って戦闘を行う。そして2つ目の議題だ。今回のこの件より風樹、研修医卒業だおめでとう。これは俺からの卒業祝いだそう言って渡されたのは何も描かれてはいないカード3枚と1つの緑色の弓だった。だがこの弓は特殊だった弓の弧の部分には水色の刃がつき弓の弦の部分には糸にはなっているが普通の弓の3倍近い厚みがあった。

「《弓刃》と名付けてみた。この武器の最大の特徴は3つの形態に変化する事だ。基本形態の弓、近接戦が可能で攻撃力重視な鎌と弓についた刃での機動力重視の近接戦闘を行う弓刃形態だ。それぞれのモードに変化させて戦える。今のお前なら扱える筈だ風樹。それぞれの形態に変化させてそのブランクカードに翳してみろ。そうすれば登録されて自由に召喚が可能になる。それになそのデータは全員のブランクカードにも共有されるから全員が扱える事になる。まぁ一芸に秀でた科戸と晴嵐はなかなか使う機会は無いかもしれないがな。次に担当区域を発表する。先ず科戸、お前は北海道へ行け。主な発生地域は恐らく札幌や旭川などの大きな街だと思う。次に晴嵐、お前は四国だ。ここは正直何処に発生するかはまだわからないが高知に向かえ。ここ数年あの辺りが震源地となって大規模な地震が起きるのではないかと噂されている。それが引き金となってビーストが大量に具現化する可能性が高い。そして風樹、お前は沖縄だ。あそこは他と比べて範囲は狭いがあそこもここ最近では地震が多発してる。それを不安視したりする感情がビーストを具現化させる可能性があるからな。そして俺は東京を起点に本土全てのビーストの駆除だ」

「それは無茶が過ぎます颯汰兄さん。考え直してください」

科戸が反対意見を述べてそれに颯汰が答える

「ああ説明すると長くなるから簡潔に言うとだなその方が都合が良い本土は様々な人間の負の感情で様々なビーストが出現する。だから対応力に1番長けている俺が担当するのが1番なんだよ。それにな怪我を負ってもここがあるだろう。だから直ぐに治療してまた次の現場へという事も可能な訳だ。という事で、各地へ向かう飛行機やフェリーのチケットはもう購入してある。それと2つ約束だ。それぞれの担当区域の駆除が終わり次第別の担当区域の人間と合流して駆除に当たってくれ。そして2つ目、絶対に死ぬな。それでは各自準備が出来次第担当区域に向かってくれ」

颯汰はそう言って会議を終了して院長室に戻った

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