5-2.春の日に

  四



 春、桜の花が舞っている。学校からの帰り道、愛衣と秋穂は二人で手をつないで歩いていた。

 ふいに秋穂が空を見て、それから愛衣に尋ねた。

「あの日、どうして私に話しかけようって思ったの?」

「……どうしてだろう」

 愛衣も、同じく空を見上げて思う。たぶん、大きなきっかけは大好きな歌が聞こえたから。だけど。

「あの日、大好きな歌が聞こえて、歌声が綺麗な声だなって思って、風で揺れる黒髪が素敵だなって思って……そう思ったら声をかけちゃった」

 空を見ながら笑う愛衣。

「あたし、もしかしたらその時から秋穂に恋してたのかも」

 今度は秋穂の目を見て笑う。

「ほんとに? それじゃあ、一目ぼれっていうやつだったの?」

「そうかも〜。だってあの時からずっと秋穂のことかわいいって思ってて、なんでも気になる〜って思ってるんだもん」

 くすくすと笑う秋穂。彼女の隣にいるのが自分でよかったと、愛衣は心の底から幸せを感じた。

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いちごソーダとカレイドスコープ 隠岐 イチカ @oki_ichika

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