第4話

私は、義弟から、この相談を受けたとき、すぐに、いたずらだと思ったんですよ。


だって、自分が書いた小説の登場人物が脅迫してくるなんて、普通に考えてありえない話じゃないですか。


それに、義弟は、その、ホラーの元ネタが豊富だった町の小学校は、卒業する前に転校しているらしいのです。普通、小学校の頃の、卒業前に転校していった友達、しかも、中学以降付き合いもなかった友達の本名なんて、覚えていないでしょう。


だから、当時の義弟の友達が、小説の内容を読んで脅迫しようとしてきた、というよりも、可能性が高いのは、義弟の今の友達が、いたずらで義弟をからかっている、という方だと思ったんです。だって、私だったら、もし、まわりに、ひそかにホラー小説を書いているやつがいたら、そいつを逆に怖がらせてやるいたずら、絶対にやってみたくなりますから。


義弟は、真面目で、まあ、どっちかというと、ネクラというか、オタク気質なところがあるので、なんというか、からかいたくなる要素があるんですよ。


だからね、たぶん、義弟のメールアドレスを知っているっていう大学時代のサークル仲間たちが、何かのきっかけで、義弟がカクヨムで小説を書いているって知ったんだと思うんですよ。まあ、本名で書いていたっていうんだから、周りにいるやつからは、わかる可能性、ありますよね。で、ちょっとからかってやろうって思った。そんな感じだと思うんです。もし、きっと、そのTっていう喫茶店に義弟が行っていたら、昔のサークル仲間から、なにか、すごく怖がらせられたあとで、種明かしされていたんじゃないんでしょうかね。


ひょっとしたら、その高桑くんってのも、いたずらの仲間で、事故ってのも、自作自演かもしれないですよね。


まあ、とにかく、そう思ったんですよ。だって、そう考えれば、いろいろ、辻褄が合うでしょう?


−−−


義兄は、きっと、いたずらだっていうんですよ。

どうなんでしょうか。


確かに、最初のころのメールは、いたずらだと考えても不思議ではないかもしれませんけれど、途中から、このメール、いたずらにしては、かなり不穏な感じの文面になってきていると思うんです。それに、これ、いたずらにしては手が込みすぎている気もするんですよね。


でも、もし、いたずらだったら、いいな、とは思います。なにも心配しなくてもいいってことですから。義兄は、いたずらしている奴らを突き止めて、逆に、ちょっとからかってやろう、っていうんですけれど、私は、もし、いたずらなんだったら、無視しとけばいいって思うんです。面倒くさいですから。いたずらなら、ほおっておいてもいいってことですからね。


−−−


なぜ、私に謝罪しようとしないのですか?

会社帰りのあなたを、交通事故にもあわせて痛い思いをさせてやったというのに、まだ、私の怖さがわからないのですか?

ひょっとしたら、あなたは、本当に、私が誰だか忘れていて、どうやって謝罪したらいいのか、わからなくなっているのですか?


しかたがありません。

私が誰か、はっきりわかるようにしてあげますよ。

どうやって謝ったらいいのか、わかるようにしてあげますよ。

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