数高部隊篇

第12話 ラブストーリー?

16番隊本部にて…


音音おとねさん、あそこで何があったんですか?」

鬼失は問いた


重狂シュヴェーアに入らないか?とか言われたっす、まぁ断りましたっすけど」

「あ!そうだったんですか…よかったです!あ、あと弼慈はどうしたんですか?

倒れていたところにはもういませんけど…」

「確かに…どこに行ったんすかね…」

「え!?野放しにして大丈夫なんですか!?」

「ああ、無害って事はわかったっすかね」


BAWバウ-鵺』

その瞬間得体の知れない何かが現れた

「食い千切れ」

金髪の男の子がそこにはいた


「あー、9番隊隊長の方っすね」

「なんだ…?テメェら何見てんだ」

想極力クレエを発動する時の掛け声が聞こえたから来たんですよ!」

「なるほど」


「あなたの名前はなんですか…?」

鬼失は質問した


「9番隊隊長 苦鵺 生物くぬえ なまぶつ 想極力クレエGAWバウ』よろしく」


「どことなく、巡朴じゅんぱさんと似てますね」

「…あいつと同じにするな」

身長や喋り方が巡朴に似ていた


「確か、あの人と巡朴さんは幼馴染だったような気がするっす、私もっすけど」

「え!?音音おとねさんと巡朴さんって幼馴染だったんですか!?」

「ええ、そうっすよ、言ってなかったっけ?」


その瞬間音音おとねの語尾である「っす」がなくなり鬼失は違和感を覚えた


「どうしたの?鬼失」

「…まただ」

「ん?」

「あ、なんでもないですよ!」

「そう?わかった」


音音おとねは困惑していた


「そこの女」

生物なまぶつは背を向けながら言った


「は、はい!」

鬼失は驚きながら言った


「あー…好きな動物なんだ?」

思っていたより可愛らしい質問だった


栗鼠リス…です」

「なるほど…栗鼠か可愛らしい」


生物なまぶつは顎に手をのせ考え込んだ


「変なやつっすよね〜、いつもこんな感じで初対面の人には好きな動物を聞いてその生物を生物なまぶつ自身の想極力クレエの技にしてしまうんっすから、そんな生物なまぶつは私は好きだったっす」

「“だった”ってことはもう好きじゃないんですか…?」

「ええ、彼は4番隊隊長の葱が好きみたいだから」

「なるほど…」


音音おとねは少し涙を流していた


「…どうした?おと涙流してるぞ…?ほら…ティッシュ!」

「あ…ありがとう」


音音おとねは涙目だが微笑んだ


「ラブストーリーはそこで終焉でいいかい?」

誰かが見知らぬ声がした


「誰だ!?」

生物は叫ぶように言った

「貴様らに名乗る必要はない、強いて言うなら貴様らしたら“新たな敵”ってわけだ」


そいつは、とても細いつるぎを持っていた


「…ッ!」

その場にいた全員が息を呑んだ


『呑め-塩酒えんしゅ

そいつが持っていた剣は塵となった


「これがこいつの想極力クレエ…?」

鬼失は小声で言った


想極力クレエ?なんだそれはこれは斬棍キリアだ」

「キリア…?」

鬼失は困惑した

「恐らく、あいつが所持している剣の状態変化の事っす」

音音おとねは耳打ちするように言った

「なるほど…」


「さぁ、決闘といこうじゃないか」

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